第97回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療機器管理

医療機器管理1

2022年6月4日(土) 14:00 〜 15:00 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:山浦 健(九州大学)

14:30 〜 14:40

[42] ECMO 装置に搭載された電子ブレンダーの低流量時における酸素濃度とガス流量の性能評価

越山 裕平, 佐藤 貴彦 (旭川医科大学病院)

【はじめに】
成人領域において重症呼吸不全に対する体
外式膜型人工肺(以下ECMO)の重要性は,
新型コロナウィルスによるパンデミックにより
再確認されている.小児領域では,成人に対す
るECMOが重要視された2009年の新型インフ
ルエンザ流行より以前から重要視され,当院に
おいても重症呼吸不全・重症循環不全において
ECMOを実施してきた.
【目的】
電子ブレンダーは,送気圧のモニタリング,
自動酸素フラッシュ機能といった長所がある.
その反面,低流量などでは酸素濃度や流量が安
定しないといったデメリットもある.特に小児
領域において,ガス流量はPaCO2制御に重要で
あり低流量での制御が必要な場合が多い.成人
領域でもECMO離脱時に低流量にてガス流量
制御する場合もある.今回,当院にて使用して
いるECMO装置の電子ブレンダーについて,
低流量時における酸素濃度および流量を実測し
性能評価をおこなったので報告する.
【方法】
対象は当院で保有している電子ブレンダー
を搭載したECMO装置3台とし,模擬回路人
工肺へのガス供給ラインにフローアナライザを
組み込み測定をおこなった.ガス流量:0.1 ~
4.0L/min,FiO2:0.21 ~ 1.00の範囲を測定対象
とした.
【結果】
酸素濃度とガス流量どちらにおいてもメー
カの精度保証内は,安定した動作を確認できた
が精度保証外においては,設定変更直後からの
十分に安定したガス供給はおこなえなかった.
【考察】
今回,小児ECMOや成人ECMO離脱時を想
定した低流量での電子ブレンダーの性能評価を
おこない,精度保証外での動作は十分に安定し
た動作とは言い難い結果となった.しかし,臨
床現場においては,患者状態・医療機器の特性
などを加味したうえで,我々臨床工学技士が使
用機器の選択・設定の検討を医師と共におこ
なっていく必要がある.
【結語】
ECMO装置の電子ブレンダーについて,低
流量時における酸素濃度およびガス流量の性能
評価をおこなったところ,動作保証外での動作
は十分に安定した動作とは言い難い結果となっ
た.