第97回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌1

2022年6月4日(土) 14:00 〜 14:40 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:酒井 大志(越谷市立病院)

14:10 〜 14:20

[50] 過酸化水素ガス滅菌のSOP を再考する

石田 克之, 池端 明美, 竹田 博明 (北海道大学病院 物流管理センター 材料室)

【はじめに】
当院は低侵襲手術の拡充により過酸化水素
ガスプラズマ滅菌(VH2O2滅菌)にて処理する
再使用可能医療機器(RMD)が増加している.
VH2O2滅菌はRMDや包装材の素材や形状,重
量,積載条件などにも影響を及ぼすことから
SOP(standard operation procedure)は重要
な役割を示すと考える.今回,当院にてSOPを
再考するにあたり以下の取り組みをおこなった
ので紹介する.
【方法】
1.搭載するRMDと滅菌サイクルの適合お
よびサイクルに明文化されている最大積載量や
設置場所を再確認した.2.使用している滅菌
サイクルの過酸化水素濃度曲線や圧力を計測し
た.積載の最大値と最小値を当院で計測した濃
度曲線下限値と比較し評価した.3.RMDに
は化学的および生物学的インジケータ(CI/
BI)を挿入し,包装内部の滅菌剤浸透を確認
した.
【結果】
1.搭載するRMDの重量を計測した結果,
滅菌サイクルの許容範囲内であることを確認し
た.また,RMDの搭載場所も逸脱することの
ない状態であった.2.DUOサイクルでは,メー
カ規定H2O2有効量下限値(582mg-s/L)に対し,
最大積載量(9.5kg)の濃度曲線(1回目:1,207・
2回目:1,518),最小積載量(2.2kg)の濃度
曲線(1回目:1,859・2回目:2,124)という
結果であり,最大積載時に濃度曲線値が減少す
ることを確認.圧力についても設定範囲の値を
示した.また,RMDの最大積載量9.5kgの濃度
曲線値と比較して,積載量7.7kgの種類の異な
るRMDがより低い値(1回目:836・2回目:
1,190)を示した.3.包装内部のCI/BIは合
格を示していた.
【考察】
VH2O2滅菌のSOPは作業手順を示していた
が,実験で得た情報の追記を検討した.この
実験は稼働性能的確性確認(PQ)に繋がり,
SOPの信頼性を向上させることが可能と考え
る.新規導入のRMDに対して試験過程とその
評価をSOPとして文書化することで,安全な滅
菌物を供給することができる.