第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

臨床工学

臨床工学

2023年7月1日(土) 15:00 〜 16:10 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:野川 悟史(昭和大学藤が丘病院)

15:00 〜 15:10

[107] 心拍変動周波数解析における許容されるR-R 間隔値の除去率の検証

小嶋 和恵1, 中井 浩司1, 平手 裕市1, 松井 藤五郎1,2, 原 翔太3, 山本 諄3 (1.中部大学生命健康科学部臨床工学科, 2.中部大学工学部情報工学科, 3.中部大学大学院生命健康科学研究科生命医科学専攻)

【背景】
心拍変動(以下HRV)の周波数解析にて,自律神経の活動量を測定することができる.我々はこの手法を用いて,治療中のストレスレベルを非侵襲的に測定することのできる医療機器の開発を目指している.HRVは洞調律に起因するため,不整脈や非生理的な要因で発生したR-R間隔(以下RRI)値を,HRVの解析工程で除去しなければならない.そこで,HRV周波数解析における許容されるRRI値の除去率について検証した.
【方法】
血液透析療法施行中に連続的に記録した80症例から無作為に抽出した20症例について,洞調律に起因したRRI値のみが記録されている任意の5分間を選択した.これを,Pythonを用いて構築したHRV周波数解析システム(HRV Analysis)を用いて,高速フーリエ変換にて周波数解析をおこない,低周波数成分のpower値(LF),高周波数成分のpower値( 以下HF), LF/HF比を算出し,これを除去率0とした.また,除去率0の区間から一定割合のRRI値を無作為に除去したRRIデータを作成し,同様に LF,HF,LF/HF比を算出した.この際のRRI値の除去率は,0.01-0.10の0.01毎の10点とし,これを除去率0.01-0.10とした.そして,除去率0と除去率0.01-0.10の解析結果が一致していると見なすことができるかを,Linの一致相関係数(以下CCC)を用いて評価した.
【結果】
LFのCCCは,除去率0vs 除去率0.01-0.10の全てで>0.99であった.HFとLF/HF比のCCCは,除去率0vs 除去率0.01-0.06で>0.99,除去率0vs 除去率0.07-0.10で0.95-0.99であった.
【結論】
CCCは,その値が>0.99は完全に一致,0.95- 0.99は十分に一致と見なすことができる.LF, HF,LF/HF比の全てにおいて,除去率0と完全に一致した除去率は0.01-0.06であった.このことから,HRV AnalysisではRRI値の除去率が6%以下であれば,その解析結果は除去率0と完全に一致すると見なすことができることが明らかになった.