15:20 〜 15:30
[109] 心臓ペースメーカ植込み透析患者の胸郭インピーダンスの変化に関する研究
【背景】
透析患者は体内に老廃物と余剰水分が蓄積されるため,通常週2回から3回,1回4時間から5時間の定期的な血液透析治療(hemodialysis:以下HD)により,過剰な水分除去をおこない適切な体内水分量を維持している.B社ペースメーカ(以下PM)では,リード先端電極と本体間の合成抵抗(TI:胸郭インピーダンス)が毎日測定され医療機関で確認できる.TIは体内水分量により変化すると報告され,B社PMの植え込まれた透析患者では,HD日,非HD日の測定値への影響が考えられた.今回B社PM植込み透析患者2名を対象にTI値の水分貯留による影響を検討した.
【対象】
当院でB社製PMが植え込まれた透析患者2名とした.除外基準として,植込み後3ヶ月間はPM本体の定着,および電極リードの心筋定着までの期間としてデータの評価期間から除外した.
【方法】
TIは1時間おきに測定され24時間の平均値が翌日に遠隔モニタリング(RMS)に送信され,医療機関で確認できる.このため翌日に送信されるTIを前日のTIとして,HD日,HD1日後,HD2日後のTIを比較した.統計処理にはEZR,Kruskal-Wallisの検定を用い,2群間比較にはBonferroniの多重比較をおこなった.
【結果】
対象の2名は,それぞれ観察期間16,33 ヶ月,ドライウエイト54.0±0.440,58.8±2.27kg,体重増加量4.30±0.88,4.71±7.17%(mean±SD)であった.HD日,HD1日後,HD2日後のTIの比較では,HD日のTIがその他と比較して有意に低かった.
【考察・結語】
透析患者では体内に貯留した水分は血管内外に貯留し,HDにより先に血管内から除水され,その後プラズマリフィリングにより血管外から血管内に移行するため,個人によってその移行速度は違うが,HD1日後にTIは上昇したと考えられた.昨今ドライウエイトの指標に生体インピーダンス法も有用との報告もあるが PM植込み患者には禁忌であるため,今後TIの基準値が明確になればPM植込み透析患者の適切な体内水分量の指標になり得ると示唆された.
透析患者は体内に老廃物と余剰水分が蓄積されるため,通常週2回から3回,1回4時間から5時間の定期的な血液透析治療(hemodialysis:以下HD)により,過剰な水分除去をおこない適切な体内水分量を維持している.B社ペースメーカ(以下PM)では,リード先端電極と本体間の合成抵抗(TI:胸郭インピーダンス)が毎日測定され医療機関で確認できる.TIは体内水分量により変化すると報告され,B社PMの植え込まれた透析患者では,HD日,非HD日の測定値への影響が考えられた.今回B社PM植込み透析患者2名を対象にTI値の水分貯留による影響を検討した.
【対象】
当院でB社製PMが植え込まれた透析患者2名とした.除外基準として,植込み後3ヶ月間はPM本体の定着,および電極リードの心筋定着までの期間としてデータの評価期間から除外した.
【方法】
TIは1時間おきに測定され24時間の平均値が翌日に遠隔モニタリング(RMS)に送信され,医療機関で確認できる.このため翌日に送信されるTIを前日のTIとして,HD日,HD1日後,HD2日後のTIを比較した.統計処理にはEZR,Kruskal-Wallisの検定を用い,2群間比較にはBonferroniの多重比較をおこなった.
【結果】
対象の2名は,それぞれ観察期間16,33 ヶ月,ドライウエイト54.0±0.440,58.8±2.27kg,体重増加量4.30±0.88,4.71±7.17%(mean±SD)であった.HD日,HD1日後,HD2日後のTIの比較では,HD日のTIがその他と比較して有意に低かった.
【考察・結語】
透析患者では体内に貯留した水分は血管内外に貯留し,HDにより先に血管内から除水され,その後プラズマリフィリングにより血管外から血管内に移行するため,個人によってその移行速度は違うが,HD1日後にTIは上昇したと考えられた.昨今ドライウエイトの指標に生体インピーダンス法も有用との報告もあるが PM植込み患者には禁忌であるため,今後TIの基準値が明確になればPM植込み透析患者の適切な体内水分量の指標になり得ると示唆された.