第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄2

2023年6月30日(金) 14:00 〜 15:00 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:松山 利秋(産業医科大学)

14:30 〜 14:40

[16] 洗浄評価のために用いるタンパク質定量法の特性

亀田 彩香1, 長谷川 樂1, 谷野 雅昭2 (1.川崎医療福祉大学医療技術学部臨床工学科, 2.川崎医科大学附属病院 麻酔・集中治療科)

【はじめに】
手術器械などの洗浄評価のために洗浄後の器材より抽出された残留汚染物質のタンパク質の定量がなされる.タンパク質定量法としてはクーマシーブリリアントブルー(CBB)法やビシンコニン酸(BCA)法,660nm法などがある.医療現場における滅菌保証のガイドライン2021では1器械あたり200μg以下であることを求めているが,抽出には少なくとも数mLの抽出液を要するため,定量には高い精度が要求される.タンパク質定量は通常,特定タンパク質の検量線から試料の定量がなされるものの,洗浄評価においては不特定の総タンパク質量を測定することとなるため,定量法の特性などを考慮する必要がある.今回,前述の方法について比較検討した.
【方法】
希釈したヘパリン加ヒツジ血液の総タンパク質量を測定対象とした.300倍に希釈した20の検体およびさらに希釈し30μg/mLとなるようにした28検体を前述の3つの方法で,BCA法とCBB法はそれぞれ2つの試薬メーカより入手したキットを用いて測定し比較した.検量線にはウシ血清アルブミンを用いた.
【結果】
300倍希釈検体ではCBB法とBCA法では試薬メーカが異なっても測定値は概ね等しく, CBB法の測定値はBCA法より2割以上高い値を示した.660nm法の測定値はCBB法に近い値となった.低濃度検体の測定については, CBB法とBCA法は低濃度検体用の手法を用い, CBB法はBCA法より1割程度小さい値となった.BCA法については2つのメーカ間で測定範囲に違いがあり,平均値は近くなったものの,一方のばらつきは大きくなった.660nm法は低濃度検体用の手法が示されておらず,通常の手法による測定では安定した結果を得ることができなかった.
【結語】
BCA法とCBB法では同一希釈血液検体の測定値に差があり,標準プロトコルと低濃度プロトコルとの間にはその傾向の違いも認められた.