第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌業務管理

滅菌業務管理2

2023年6月30日(金) 17:00 〜 18:00 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:濱中 郁恵(大阪大学)

17:30 〜 17:40

[27] 品質マネジメントシステムによる滅菌室での再生処理品質確保への取り組み

小林 誠1, 村上 有子1, 副島 祐子1, 岩井 孝子1, 城之内 幸宏2, 久保田 英雄3 (1.公益財団法人榊原記念財団附属榊原記念病院 業務管理部 材料管理課, 2.サクラ精機㈱感染制御事業本部 学術部, 3.東京医科歯科大学病院 材料部)

【背景】
再使用可能医療機器(以下RMD)の再生処理は院内でおこなわれており,この製造責任は病院にある.しかし,病院でのRMD再生処理に関わる法的規制は無い.一方,滅菌済医療機器の製造販売には医療機器の品質マネジメントシステム規格ISO 13485が適用される.滅菌物の品質を一定とするならば,滅菌室としても ISO 13485に準拠した品質の確保が必要と考える.今回,ISO 13485の認証取得について検討をおこなったので報告する.
【方法】
ISO 13485を取得するには病院としての検討,判断が必要となる.判断材料としては,取得までの工程,費用,時間を見積,および取得したことによる組織的・経済的メリット,ランニングコストについても見積る必要がある.併せて,患者-医師-医療施設と三位一体の利益を享受できなければ価値が無い.ガイドライン 2021に記載がある米国規格AAMI ST90を参考とし,自院と照らし合わせ必要最小限の認証項目を抽出した.
【結果】
ISO 13485中,市販滅菌済医療機器と異なるのは7章 製品実現部分であった.医療施設での滅菌室業務は限定でき,例えば7.3 設計・開発,7.5 製造及びサービスの提供などは企業とは異なる.また,バリデーションではなく適切に定められ規定に沿った再生処理方法の実施の確認が求められる.
【まとめ】
医療機器メーカと同品質の滅菌物をISO認証取得することで保証を担保できると考えている.しかし,その実現には相応の投資,業務改善計画,さらには将来的な滅菌物製造を核とした収支計画含め見積をおこなわなければ,自院におけるISO 13485取得は現実的ではない.また,ISO 13485の認証要件中,病院には不要な要件も多分に存在し,その取得範囲・方法についても,認証機関との調整をおこない,精査,検討を要し,病院におけるISO 13485認証取得の困難さを理解することができた.引続き,病院経営に貢献できるSDGsな滅菌管理室を目指したい.