第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

技術開発/改良

技術開発/改良

2023年6月30日(金) 09:00 〜 10:10 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:吉田 靖(滋慶医療科学大学)

09:10 〜 09:20

[31] 小型マイコンモジュールを用いた一次救命講習会用胸骨圧迫評価ツール

堀 純也 (岡山理科大学工学部生命医療工学科)

一般市民向けの一次救命(以下BLS)講習において,手軽に胸骨圧迫の練習をおこなう方法としてペットボトルを圧迫する訓練法が提案されている[1].ペットボトルを用いた心肺蘇生法では,新型コロナウイルスなどの感染症が感染拡大している場合でも,人との接触を避けながら訓練をおこなうことができる.この手法では,胸骨圧迫のリズム評価は,第三者に評価してもらうことになるが,胸骨圧迫の評価が自分できればより便利である.当研究室では,これまでに水を満たしたペットボトルのキャップに圧力センサを取り付けて,その圧力変化をシングルボードコンピュータ(Raspberry Pi 3)で可視化することにより,胸骨圧迫のリズムを評価する機器の作製を試みてきた.今回は,以前のシステムをより小型化できるように改良した.今回作製したシステムは,2インチ(320× 240)カラー TFT液晶画面を備えた小型のマイコンモジュールであるM5Stack(M5Stack Technology Co., Ltd)により,薄膜型の感圧センサからの信号を取得し表示する仕様となっている.感圧センサは,ペットボトルのキャップにエポキシ樹脂と紫外線硬化型で固定し,水で満たしたペットボトルに装着した.ペットボトルを圧迫した際に生じる感圧センサの抵抗変化を電圧変化に変換してM5Stack 内のマイクロコントローラ(ESP32)で計測しTFT液晶画面に表示して可視化するものとした.
本研究で作製したシステムを用いることで,胸骨圧迫の速さ,CCFを評価できるようになった.一般市民向けのBLS講習会では,1分間に 100 ~ 120回のリズムで胸骨圧迫する様子を第三者が評価したり,音楽やメトロノームのリズムで評価してもらっているが,このシステムを利用すれば,1人でも定量的に胸骨圧迫の手技を評価することが可能となる.
なお,本研究はJSPS科研費 21K02818の助成を受けたものである.
引用
[1]一般社団法人ファストエイド,https:// www.fastaid.co/,(参照2023-02-26).