第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄1

2023年6月30日(金) 09:00 〜 10:10 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:河野 太郎(宮崎大学)

09:40 〜 09:50

[6] 隙間デバイスを用いた予備洗浄温度と血液洗浄性の関連の調査

中野 結子, 藤田 敏 (クリーンケミカル㈱技術部)

【背景】
血液は高温の湯と接触すると熱変性し除去が困難になると考えられているが,先行研究1)にてWDの予備洗浄工程のみでは水温が高いほど残留蛋白質量が少ないことがわかっている.本研究では隙間デバイスを用いて予備洗浄工程における水温が血液汚染物の洗浄性に及ぼす影響について調査した.
【方法】
プロタミン添加羊血液50μlを3mmの隙間に塗布し,25℃ 75%RHにて24時間静置したものをデバイスとした.血液汚染物に物理的作用を加えるために恒温槽の噴流口からデバイスの血液塗布部分に直接水流が当たるように設置した.異なる温度(20℃,40℃,50℃)で3分間予備洗浄をおこない,OPA変法にて残留蛋白質量を定量した.本洗浄を実施する場合は,予備洗浄終了後中性酵素洗剤を用いて,同様に恒温槽にて50℃で5分間洗浄をおこない残留蛋白質量を定量した.
【結果】
残留蛋白質量は,予備洗浄温度が20℃で1191
±368μg,40℃で625 ±187μg,50℃で593±98 μgであり(N=13),先行研究と同様に20℃が 40℃,50℃と比較し有意に残留量が多かった(p
<.05).また,デバイスに残留した汚染物を目視確認すると水温が低いほど汚染物の赤みが強く,血液の残留が多いと判断できた.一方,本洗浄までおこなった場合,残留蛋白質量は20℃で13±8μg,40℃で34±33μg,50℃で99±36 μgであり(N=8),50℃が20℃,40℃と比較して有意に残留量が多かった(p<.05).予備洗浄20℃と40℃では本洗浄後のデバイスに残留汚染物が目視にて確認されなかったのに対して,50℃では汚染物が固着していた.よって,本研究にて先行研究の再現性が得られたとともに,予備洗浄の温度によって汚染物の状態が異なることから,先行研究における予備洗浄の水温による血液洗浄性の違いは,血液の状態が異なっていることに起因すると推測された.
【文献】
1)中野結子ほか. WD予備洗浄工程の水温が血液汚染物の除去性に与える影響について. 医機学. 2022. 92(2). 226.