第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療安全対策

医療安全対策2

2023年7月1日(土) 14:00 〜 14:50 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:生田 義浩(熊本大学)

14:00 〜 14:10

[79] 上部消化管内視鏡検査における未洗浄消毒での再使用を防止するシステムの開発

中山 加奈子1, 中川 咲1, 渡邊 琢朗1,2, 竹内 道広1,2 (1.広島工業大学生命学部生体医工学科, 2.広島工業大学大学院生命機能工学専攻)

【目的】
上部消化管内視鏡検査において,患者使用済みの内視鏡を他患者に再使用した事例が報告されている.本研究ではリードスイッチとネオジム磁石(以下磁石)とを用いて,内視鏡をスコープハンガ(以下ハンガ)に設置後の経過時間をリアルタイムで定量的・客観的に監視し,未洗浄消毒での再使用防止を促すシステムの開発を目的とする.
【方法】
システム構成は, マイクロコントローラ(Bluetoothモジュール),リードスイッチ,磁石,LED,圧電スピーカ,PC(モニタ・記録)である.動作状況は,遠隔エリアで記録・表示できるように設定している.リードスイッチの精度実験は,リードスイッチに磁石を近づけ,反応した距離を3部分(右端,中央,左端)で測定した.システムの動作実験は,内視鏡の操作部側面に磁石,ハンガにリードスイッチを設置し,内視鏡をハンガに設置後にシステムの動作(緑色LED発光と時間計測)を開始させた.動作開始10分後青色LED発光,20分後赤色LED発光,30分後赤色LED発光持続とアラーム発報の変化を検証した.PCには,緑色LED発光時「正常」,青色LED発光時「注意」,赤色LED発光時「警告」と表示されることを検証した.
【結果】
リードスイッチの精度実験では, リードスイッチの左・右端の平均反応距離はともに 18.4mmで,中央の平均反応距離は4.2mmであった.システムの動作実験では,ハンガに内視鏡を設置後,システムの動作開始を確認することができた.さらに,10分後に青色LED発光, 20分後に赤色LED発光,30分後に赤色LED発光継続とアラームが発報することを確認した.遠隔エリアにおいて,LEDの発光色と経過時間,注意喚起の表示を確認できた.
【結論】
本システムは,内視鏡をハンガに設置後からの経過時間をリアルタイムで定量的・客観的に監視し,未洗浄消毒での再使用を注意喚起することができた.今後はセンサを追加して内視鏡の使用状況を把握できるシステムの開発を検討する.