第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

電磁環境・電波管理

電磁環境・電波管理

2024年6月22日(土) 09:00 〜 10:00 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:楠本 繁崇(大阪大学)

09:30 〜 09:40

[105] 院内の電波安全管理について

~臨床工学技士による無線 LAN の電波環境調査~

石丸 茂秀, 灘吉 進也, 山崎 裕太, 坂井 陽一 (社会医療法人共愛会戸畑共立病院)

【目的】
近年,無線LAN技術の急速な普及が見られ, 2022年度の電波環境協議会の報告によれば,医療施設の91.6%で無線LANが導入されている.戸畑共立病院の電波利用安全管理委員会は,臨床工学技士(以下CE)を中心に構成される.無線LAN方式の医療機器も市場に広く流通していることから,CEによる無線LAN管理を模索している.医療機関内での無線LANに関連する問題が懸念されることから,電波管理の重要性は,既に認識されている.そこで今回,当院の無線LANの電波環境調査の結果をもとに,当院の管理について考察する.
【方法】
調査期間2023年1月から12月,測定場所は,各フロア(A ~ D)と設定し,測定機器は, Matt Hafner作成のアプリケーションソフトウェアWi-Fi analyzerを使用した.検出されたネットワーク数,ネットワーク強度を調査し, A:当院管理Wi-Fi,B:それ以外のWi-Fiと分類した.
【結果】
Aフロア,ネットワーク数A:186件,B:19件,強度A:-66dB,B:-66dB.Bフロア,ネットワーク数A:308件,B:131件,強度A:-75dB,B:
-84dB.Cフロア,ネットワーク数A:294件,B: 219件,強度A:-75dB,B:-82dB.Dフロア,ネットワーク数A:272件,B:86件,強度A:-67 dB,B:-81dB.
【考察】
当院は,住宅街や大学に隣接しており,周辺からの電波が影響を与えている可能性があり,各フロアでの測定の重要性を示唆した.入院患者によるWi-Fi持ち込みの影響については,広報の強化,院内巡回や患者への聴取が必要である.無線LAN管理として,教育活動,ネットワークモニタリングとメンテナンス等にもCEも関わることが,電波および医療機器の安全性確保のうえで重要であると示唆された.