第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

電磁環境・電波管理

電磁環境・電波管理

2024年6月22日(土) 09:00 〜 10:00 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:楠本 繁崇(大阪大学)

09:50 〜 10:00

[107] 医療機器の電磁波障害に関する新たな要因:無線通信機能

花田 英輔1, 工藤 孝人2 (1.佐賀大学理工学部数理・情報部門, 2.大分大学理工学部)

日本の病院において無線LANの普及率はすでに90%を超える.病院における無線LANは,これまで主に病院情報システムのサーバと端末をつなぐために導入されてきた.昨今は,音声通信などにも無線LANを利用するケースが増えている.さらに,無線通信機能が搭載された医療機器が普及しつつある.現時点では主にアラームの発生を知らせる目的での使用が多いが,今後は機器の動作状態モニタリングや,機器設定の送信における利用も考えられる.このことは,今後に潜在的な問題を生じる.医療機器との無線通信に関する問題点は既に発生しており,その要因は病院建物の設計および建築施工,ネットワークの設計および運用において,それぞれ存在している.よって,それぞれに対して予防策を講じる必要がある.また,医療機器が持つ無線通信機能が用いる規格は不統一であり,かつ古い規格になりがちである.このことは無線通信ネットワークの構築と維持に影響をもたらす.また,病院全体のネットワークを用いた通信の利用が急速に増えており,ネットワーク管理上の問題を起こしている.ここでは,無線通信の信号到達に関してすでに起きている問題に加え,医療機器が用いる無線LAN規格の問題,有線部分で用いているLANケーブル規格と無線LAN部分の規格との整合性など,主に医療機器との無線通信に関する問題点を整理する.また,今後,有線部分を含めた病院内ネットワーク全体に起き得る問題と対策を述べる.病院を建築あるいは改修する際,関係者は病院インフラに不可欠な無線通信の役割により多くの注意を払い,その設計と実装の際に優先的に取り扱うべきである.