第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療安全対策

医療安全対策2

2024年6月22日(土) 15:10 〜 16:00 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:加藤 信彦(北海道情報大学)

15:40 〜 15:50

[124] 生体情報モニタのテクニカルアラームに関する現状分析

渡邊 雅俊1,2 (1.国家公務員共済組合連合会東海病院 臨床工学科, 2.名古屋市立大学大学院経済学研究科)

【背景】
当施設では,令和4年度医療機器に係る重点的安全対策の1つとして生体情報モニタ管理の医療安全の推進に取り組んだ.その一環として,モニタアラームと安全管理に焦点を当て,テクニカルアラームの低減を目指した看護師への安全教育を実施した.本研究の目的は,医療機器安全管理責任者の観点から,生体情報モニタアラームに関する現状を把握し,そのうえで目指すべきあり方を検討した.
【方法】
一般病棟(1階・2階)のセントラルモニタを対象としたアラームレポートによるイベントを抽出・集計し,安全教育の介入前後での比較分析をした.また,安全教育を受講した看護師を対象とした生体情報モニタアラームに関する意識調査(理解度,教育の必要性)について統計分析をした.
【結果】
アラームレポートによると,テクニカルアラームは電極確認アラーム,SPO2プローブ確認アラーム,電波切れアラームが大部分を占めた.介入前後での1患者1日当たりのテクニカルアラームの件数は,1階病棟では62.7件から35.4件に減少し,2階病棟では60.6件から 90.4件まで増加した.また,安全教育の受講率は,1階・2階病棟の看護師それぞれ61.5%, 29.6%であった.意識調査における「理解度」の回答は中間選択が大半を占め,「教育の必要性」の回答は2階病棟の看護師が顕著に高い傾向を示した.経験年数と「理解度」,「教育の必要性」との関連性には,相関関係が認められなかった.
【考察】
モニタアラームと安全管理に焦点を当てた教育は,アラームに対する看護師の認識の変化や行動変容を引き起こし,テクニカルアラーム件数の減少につながることが示唆される.一方で,受講率の低さや,意識調査の「理解度」に中間選択の回答が多いことが懸念される.生体情報モニタアラームに関する医療事故防止には,アラームデータの分析の精緻化を図り,それを有効活用した継続的な教育や管理体制の構築が重要であると考える.