09:30 〜 09:40
[21] イオンレス次亜塩素酸水を用いた小児用呼気ガス回収型清浄化装置に関する基礎的検討
【背景】
感染症患者の呼気ガスからは,エアロゾル化したウイルスや細菌の排出による室内拡散が懸念される.
【目的】
今回,イオンレス次亜塩素酸水を除菌液に用いた小児用呼気ガス回収型清浄化装置を作製し,その効果について検討をおこなった.
【方法】
本システムは,吸引ボトル内に除菌液としてイオンレス次亜塩素酸水を入れ,呼気ガスを通過させることで清浄化をおこなう構造とした.試験用ウイルスとしてMS2ファージ(108PFU/ mL)を回収用チャンバ内に0.2mL/min,5分間噴霧し,このガスをボトル内のイオンレス次亜塩素酸水(40ppm)およびリン酸緩衝液(コントロール)に3L/min,20分間吸引通過させた.0.03%チオ硫酸ナトリウム加リン酸緩衝液を捕集液としたインピンジャーにより通過ガスを採集し,プラーク法により感染価を各3回測定した.
【結果】
ボトル通過前のMS2ファージ測定値は,平均2.6×105(PFU)であった.ボトル通過後のMS2ファージは,リン酸緩衝液7.6×102(PFU)に比してイオンレス次亜塩素酸水が2×101(PFU)以下と有意(p<0.01)に低値を示した.
【考察】
小児呼吸器感染症では酸素テントなどの酸素療法や人工呼吸療法時に同室患者や医療従事者への呼気ガス暴露による感染リスクが生じる可能性があり,その予防には,呼気ガスの回収や清浄化が有効な手立てのひとつとなりうると思われる.結果より,作製した装置によるMS2ファージ除去効果は,0.3μmの粒子を104除去可能なHEPAフィルタと同等であり,呼気ガス中のウイルスを不活化し,清浄化する能力としては十分であると考えられる.また,疎水性の HEPAフィルタでは不可能な感染性の貯留廃液の除去・不活化が同時にできる点も本装置の優位点であると思われる.
【結語】
作製したイオンレス次亜塩素酸水を用いた小児用回収型呼気ガス清浄化装置は,ウイルス不活化効果が高いシステムであることが示唆された.
感染症患者の呼気ガスからは,エアロゾル化したウイルスや細菌の排出による室内拡散が懸念される.
【目的】
今回,イオンレス次亜塩素酸水を除菌液に用いた小児用呼気ガス回収型清浄化装置を作製し,その効果について検討をおこなった.
【方法】
本システムは,吸引ボトル内に除菌液としてイオンレス次亜塩素酸水を入れ,呼気ガスを通過させることで清浄化をおこなう構造とした.試験用ウイルスとしてMS2ファージ(108PFU/ mL)を回収用チャンバ内に0.2mL/min,5分間噴霧し,このガスをボトル内のイオンレス次亜塩素酸水(40ppm)およびリン酸緩衝液(コントロール)に3L/min,20分間吸引通過させた.0.03%チオ硫酸ナトリウム加リン酸緩衝液を捕集液としたインピンジャーにより通過ガスを採集し,プラーク法により感染価を各3回測定した.
【結果】
ボトル通過前のMS2ファージ測定値は,平均2.6×105(PFU)であった.ボトル通過後のMS2ファージは,リン酸緩衝液7.6×102(PFU)に比してイオンレス次亜塩素酸水が2×101(PFU)以下と有意(p<0.01)に低値を示した.
【考察】
小児呼吸器感染症では酸素テントなどの酸素療法や人工呼吸療法時に同室患者や医療従事者への呼気ガス暴露による感染リスクが生じる可能性があり,その予防には,呼気ガスの回収や清浄化が有効な手立てのひとつとなりうると思われる.結果より,作製した装置によるMS2ファージ除去効果は,0.3μmの粒子を104除去可能なHEPAフィルタと同等であり,呼気ガス中のウイルスを不活化し,清浄化する能力としては十分であると考えられる.また,疎水性の HEPAフィルタでは不可能な感染性の貯留廃液の除去・不活化が同時にできる点も本装置の優位点であると思われる.
【結語】
作製したイオンレス次亜塩素酸水を用いた小児用回収型呼気ガス清浄化装置は,ウイルス不活化効果が高いシステムであることが示唆された.