第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

臨床工学

臨床工学

2024年6月21日(金) 10:20 〜 11:20 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:真茅 孝志(久留米大学)

10:30 〜 10:40

[48] ローラポンプ駆動時の振動による人工心肺回路閉塞状態の評価

下畦 龍雄, 渡邊 琢朗, 竹内 道広 (広島工業大学大学院生命機能工学専攻)

【目的】
ローラポンプの駆動時に発生するポンプチューブの振動を測定し,送血回路閉塞状態を評価することが可能か検証する.
【方法】
模擬循環回路の途中にレギュレータによる狭窄部を設置し,三軸加速度センサによりポンプの入口側,出口側の振動を測定した.閉塞度変化は0%~ 70%の間とし,回転数が109rpm(流量約3L/min)に達した時からセンサ出力を10秒間記録した.また,ポンプ出口圧力,送血フィルタ入口圧力も同時に測定した.
10秒間の出力データは1秒ごとに区切り, FFTを実施した.FFT結果から各周波数の振幅を求め,閉塞度との相関を調べ,相関が高かった周波数成分において有意差検定を実施した. kruskal-wallis検定を用い,事後検定にはDunn- Bonferroniを使用し, 有意差有りはp<0.01の場合とした.
【結果】
各周波数の振幅と閉塞度との相関を求めた結果, 出口側X軸の33Hz,40Hzと出口側Z軸 40HzにおいてR≧0.70の相関がみられた.各振幅について閉塞度0%時との比較をすると,出口側X軸の33Hz,40Hzでは閉塞度30%以上から有意差がみられ,出口側X軸の40Hzでは閉塞度40%以上から有意差がみられた.また,出口側X軸の33Hz,40Hzでは閉塞度30%時に0%と比較した際の変化率が33.7%,30.4%あり,ポンプ出口圧力,送血フィルタ入口圧力の変化率である12.7%,16.9%を上回った.
【考察】
結果より,ローラポンプの駆動に伴う振動の中で特に出口側X軸の33Hz,40Hzと出口側Z軸の40Hzの周波数成分が閉塞度と有意な相関があることが示された.よって,これらの振動成分は閉塞状態の変動を反映すると考えられる.また,出口側X軸の33Hz,40Hzでは,変化率が圧力の変化率を上回っており,閉塞度の変動をより初期段階から捉えていると考える.
【結論】
以上の結果から,出口側X軸の33Hz,40Hzと出口側Z軸の40Hzの振動成分が送血回路閉塞状態の評価に有用であることが示唆された.これらの周波数における振動成分を利用することで,回路閉塞の検出が可能であると考える.