第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

業務改善

業務改善

2024年6月21日(金) 09:50 〜 10:40 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:瀬戸口 秀一(九州大学病院別府病院)

09:50 〜 10:00

[5] 位置電流検知システムを活用した業務量調査の運用(パート1)

瀬戸 初江, 金澤 悦子 (東北医科薬科大学病院 看護部)

【はじめに】
業務量調査は看護業務の状況を把握し,業務改善や業務の効率化を図る目的で実施されている.しかし,業務量調査はデータ収集が自記式記入による方法が主となっていること,結果の分析や図式化も調査担当者がおこなっており,職員や調査担当者の労力・負担が強いられている.一方,機器を用いた業務量調査も報告されているが,機器が高額であり導入には至っていない.そこで,機器の位置情報が把握できる位置電流検知システム(以下システム)を活用し,病棟での業務量調査に応用できるのではないかと考え,業務量調査を実施したので報告する.
【業務量調査運用の実際】
業務量調査はA病院40床の病棟看護職員39名を対象に,平日の4日間実施した.機器は病棟内にアンテナ中継器18台,送受信機・モバイル WiFi・ノートPC各1台と40個のタグを準備した.設置場所は滞在する職員の位置を検出するため,業務量調査する病室・スタッフステーション・薬剤ステーション・カンファレンス室・トイレ・食堂ラウンジとし,位置情報と時間を自動収集した.アンテナ中継器は養生用両面テープを使用し,高さ2mの平面壁に設置した.職員が携帯するタグは小型軽量(形状65mm× 35mm×厚み11mm,16g) のもので, 装着には白衣の胸ポケットを利用した.取得した業務量データはタグからモバイルWiFiを経由してノートPCへ送受信された.
【業務量調査結果およびまとめ】
システムを活用した業務量調査では,平面壁に設置した機器が一部剝がれてしまい,再固定の作業が発生した.テープ剝離や機器落下のリスクにより患者の安全が脅かされる可能性があるため,安全確認をおこない再貼付再設置することのないよう留意する必要がある.薬剤ステーションやカンファレンス室などの位置情報に特化した項目は,業務量を把握するには有効であり,自記式記入による方法に比べ入力する手間や時間が発生しないため,職員の負担感がかなり軽減できる.