第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

臨床工学

臨床工学

2024年6月21日(金) 10:20 〜 11:20 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:真茅 孝志(久留米大学)

11:10 〜 11:20

[52] 学内実習用カプノメトリ教材システムの開発

中島 章夫, 鈴木 哲治, 和田 春輝 (杏林大学保健学部臨床工学科)

【はじめに】
本研究では,臨床工学技士カリキュラムにおける,医用電気 ・ 電子回路の知識を用いて,学内実習用カプノメトリの測定原理を学習できる教材システム開発を目的とする。カプノメータは,二酸化炭素分圧の経時的変化をカプノグラムとして観察することができる。一方,本学科でのカプノメータを使用した既存の学内実習では,測定波形は観察可能だが,その二酸化炭素が赤外線を吸収する測定原理まで理解することは難しい.
【方法】
カプノメトリの原理を元に,発光部センサにピーク波長4.3μmのLEDを,受光部センサには窓材に中心波長4.26μmのバンドパスフィルタを用いた光起電力素子を使用した.発光部回路にはパルス駆動電圧回路を作成し,受光部回路には微弱な光信号を増幅させノイズを除去する電流-電圧変換回路を作成した(以下CO2センサ回路).これらセンサ回路を対向させて装着する測定用コネクタを,3Dプリンタで作製した.開発したCO2センサ回路の性能を評価するため,バックバルブマスクから二酸化炭素を流入させ,比較用カプノメータと測定用コネクタを直列に接続し,受光部回路からの電圧値を高精度デジタルマルチメータで測定した.
【結果 ・ 考察】
測定の結果,実際のカプノグラムと同様に二酸化炭素分圧の上昇に伴い,電圧値の減少が確認できた.よって,本CO2センサ回路で二酸化炭素分圧の測定が可能であることがわかったが,測定回路が閉鎖回路のため二酸化炭素が大気中に放出されず,電圧変化は微小であった.
【終わりに】
今後の課題は,実呼吸を模擬した測定機構の開発や,ノイズの原因となる浮遊容量低減のためのCO2センサ回路を基板化をおこない,教材システムとして試用しフィードバックすることが上げられる.