09:50 〜 10:00
[63] 洗浄までの環境湿度が血液汚染物洗浄性に与える影響について
【背景】
医療現場にて使用後の器材が洗浄されるまでの時間は様々であり,洗浄までの環境により汚染物の状態は大きく異なる.汚染物の放置状態により洗浄抵抗性は大きく異なるため,洗浄抵抗性が高くならない条件で器材を保管することが重要である.先行研究にて,湿度が高いほど洗浄抵抗性が高くなることが明らかとなった1)が,42% RHと75% RHのみの検討であり,これら以外の湿度が血液の強度に及ぼす影響は分かっていないため調査した.
【方法】
プロタミン添加羊血液50μlを鉗子のボックスロック部に塗布,25 ℃, 異なる湿度(5 % RH以下,50 % RH,75 % RH,100 % RH) にて24時間静置し,テストデバイスを作製した.デバイスをWDにて中性酵素洗剤を用いて洗浄,OPA変法にて残留蛋白質量を定量した.
【結果】
残留蛋白質量は5% RH以下で34±18μg, 50% RHで32±8μg,75% RHで43±20μg,100 % RHで1,137±377μgであり,75 % RH以下の結果は信頼区間95%にて有意差は無かった.一方,100% RHの結果は75% RH以下と有意差があった.
【考察】
本結果は先行研究の結果と異なったが,各研究での血液汚染物の作製方法や洗浄条件などが異なることが理由として考えられ,洗浄条件や血液組成に応じて環境湿度による汚染物の洗浄抵抗性は異なると示唆された.本試験において,汚染物は完全乾燥するより湿潤している方が,洗浄抵抗性が高くなることが明らかとなった.つまり,医療現場において,血液凝固防止剤を器材に撒布した際に血液と血液凝固防止剤が接触しておらず,かつ蓋付き容器など湿度が保たれる状態で保管される場合,血液が湿潤状態となり洗浄抵抗性が高い状態になっている可能性が考えられる.血液凝固防止剤を使用する際は,汚染箇所に十分量塗布し,洗浄性および器材の製品適格性確保の観点から適切に使用することが必要であると思われる.
文献
1)原田陽滋ほか.人血液の放置条件の違いにおける洗浄への影響.医器学.2006. 7(6 10). 691-692.
医療現場にて使用後の器材が洗浄されるまでの時間は様々であり,洗浄までの環境により汚染物の状態は大きく異なる.汚染物の放置状態により洗浄抵抗性は大きく異なるため,洗浄抵抗性が高くならない条件で器材を保管することが重要である.先行研究にて,湿度が高いほど洗浄抵抗性が高くなることが明らかとなった1)が,42% RHと75% RHのみの検討であり,これら以外の湿度が血液の強度に及ぼす影響は分かっていないため調査した.
【方法】
プロタミン添加羊血液50μlを鉗子のボックスロック部に塗布,25 ℃, 異なる湿度(5 % RH以下,50 % RH,75 % RH,100 % RH) にて24時間静置し,テストデバイスを作製した.デバイスをWDにて中性酵素洗剤を用いて洗浄,OPA変法にて残留蛋白質量を定量した.
【結果】
残留蛋白質量は5% RH以下で34±18μg, 50% RHで32±8μg,75% RHで43±20μg,100 % RHで1,137±377μgであり,75 % RH以下の結果は信頼区間95%にて有意差は無かった.一方,100% RHの結果は75% RH以下と有意差があった.
【考察】
本結果は先行研究の結果と異なったが,各研究での血液汚染物の作製方法や洗浄条件などが異なることが理由として考えられ,洗浄条件や血液組成に応じて環境湿度による汚染物の洗浄抵抗性は異なると示唆された.本試験において,汚染物は完全乾燥するより湿潤している方が,洗浄抵抗性が高くなることが明らかとなった.つまり,医療現場において,血液凝固防止剤を器材に撒布した際に血液と血液凝固防止剤が接触しておらず,かつ蓋付き容器など湿度が保たれる状態で保管される場合,血液が湿潤状態となり洗浄抵抗性が高い状態になっている可能性が考えられる.血液凝固防止剤を使用する際は,汚染箇所に十分量塗布し,洗浄性および器材の製品適格性確保の観点から適切に使用することが必要であると思われる.
文献
1)原田陽滋ほか.人血液の放置条件の違いにおける洗浄への影響.医器学.2006. 7(6 10). 691-692.