第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌2

2024年6月22日(土) 11:00 〜 12:00 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:柴田義浩(国立病院機構再春医療センター)

11:40 〜 11:50

[73] 日本の低温滅菌の滅菌保証について

小林 誠 (公益財団法人榊原記念財団附属榊原記念病院)

【はじめに】
本学会で蒸気滅菌,各洗浄法について,ガイドラインに基づくバリデーションを実践し,報告してきた.これに倣い,新規導入した低温滅菌器のバリデーションについて検討した結果,自施設では対応できないことが確認された.自施設のみではなく全施設に影響があると思われるため,問題として提起したい.
【方法】
新規導入した低温滅菌器のバリデーションを計画し,RMDの「滅菌器との適合性」について添付文書,取扱説明書にて確認した.また, RMDメーカ,滅菌器メーカにも情報を確認した.
【結果】
滅菌器とRMDの適合性について確認ができなかった.また,情報が手に入らなかった.このため,滅菌保証が出来ない事がわかった.
【考察】
当院所有のRMDに,当該低温滅菌器の適合性についての記載はなく,情報も得られず,結果として当院所有のRMDと当該低温滅菌器との適合性は「不明」とせざるを得ないことがわかった.医療機器学会の「医療現場の滅菌」によれば,RMDの滅菌器/滅菌法への適用の可否の判断は,医療施設でおこなう性質の作業ではなく,現実的にも実施できない.新規に滅菌器を導入する際は,自院のRMDの滅菌条件について事前に確認し滅菌器/滅菌法を選定する必要があることを痛感した.組織的/経済的理由により滅菌器を選定すると今回同様の事態を招く恐れがある.一方,国で認められ,医療機器として販売されている滅菌器・RMDを用いてガイドラインに沿って実施しても滅菌保証ができないことに強く違和感を覚えた.行政・メーカ・医療現場が一体となり滅菌保証について法制化されることが医療現場では望まれる.