第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療安全対策

医療安全対策1

2024年6月22日(土) 09:00 〜 09:50 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:内田 荘平(福岡看護大学)

09:10 〜 09:20

[84] A病院滅菌供給部門の医療安全向上に向けた取り組み

坂本 隼人, 西谷 敬貴 (北海道旭川赤十字病院 手術室)

【背景・目的】
A病院の滅菌供給部門(以下CSSD)は委託業者が担当している.インシデントが起きた場合は外部委託会社内で共有し,手術室との情報共有はなかった.そこで,医療安全向上のため,インシデントレポート報告の提出,手術室との情報共有をシステム化したので報告する.
【対象】
A病院のCSSD委託職員10名
【方法】
期間は2023年7月から12月インシデントレポート件数と内容・対策を調査し,医療安全に対する勉強会の実施,勉強会前後でアンケート調査を実施した.(倫理的配慮)A病院倫理委員会の承認を得た.
【結果】
期間内のレポート報告は16件であった.8月に5件の報告があったが,12月には1件に減少した.インシデントの内容は確認不足によるものが多い傾向にあった.勉強会開催前のアンケート調査では,9名のスタッフが医療安全講習を受講したことがなく,5名のスタッフがインシデント報告の必要性を感じていなかった.勉強会実施後は8名のスタッフが必要性を理解したが,4名は分析のためのレポート共有に抵抗を感じていた.理由として「ミスをしたという反省感におちいる」など勉強会によりマイナスイメージは改善できなかった.
【考察】
レポート報告と対策の考察によりインシデントは減少し,取り組みは効果的であったと考える.A病院CSSDスタッフは,インシデントは個人が原因と捉えており,個人が責められるという錯覚が,レポートの共有に抵抗を感じる一つの要因と考える.対策が業務の質向上に結び付いたことを実感するポジティブインシデントというように意識が変われば,インシデントに対する取り組みは大きく変化していくと考える.今後はチームで取り組む文化を作っていくことと,報告者が支援と理解を受けたと感じられる報告しやすい環境であるよう,手術室と CSSDでコミュニケーションをとり,信頼関係を構築していくことが重要と考える.