第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療機器管理

医療機器管理1

2024年6月22日(土) 14:00 〜 15:10 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:髙橋 典彦(岩見沢市立総合病院)

14:30 〜 14:40

[91] 医療機器管理システムと輸液ポンプ動作履歴を組み合わせた稼働率の検討

吉山 潤一1, 川口 貴弘2 (1.中国電力㈱ 中電病院, 2.宮野医療器㈱)

【はじめに】
輸液ポンプは輸液製剤等の薬液を設定した時間あたりの流量で持続的に投与するために使用する装置である.貸出率の高い機器であるが輸液開始から停止までの実際に使用されている稼働状況を加味して稼働率を算出することは困難である.一般に,稼働率は使用台数を保有台数で除して求めるが,稼働状況は加味されておらず貸出率と稼働率には乖離がある.そこで今回我々は,医療機器管理システムと輸液ポンプ動作履歴を組み合わせた稼働率について検討したので報告する.
【方法】
対象機器はテルモ社製輸液ポンプTE281とし,調査期間は2022年4月から2023年3月までの1年間とした.NFC通信により輸液ポンプから取得した動作履歴と医療機器管理システムの貸出・返却履歴から貸出部署,貸出時間,製造番号等の情報を取得し,Excelで両データを集計するマクロを作成した.稼働率は,製造番号を基に貸出部署での貸出時間と使用時間を求め算出した.
【結果】
NFC通信により輸液ポンプの動作履歴を抽出し,医療機器管理システムの貸出・返却履歴との組み合わせをExcel集計マクロで実行することで期間中の貸出部署,貸出時間,使用時間,稼働率等の情報を得ることができた.また,貸出されたのに使用されていない機器があることも確認できた.
【考察】
今まで輸液ポンプに記録されている動作履歴は手動で確認しなければならずデータ抽出に時間を要したが,NFC通信機能によりデータ抽出が容易となったことでデータを組み合わせて実際の稼働状況を加味した稼働率算出ができると考える.貸出されたのに使用されていなかった機器については準備したものの患者の状態で使用しなかったのか,機器不足による病棟での抱え込みなのか分析が必要である.
【まとめ】
医療機器管理システムと輸液ポンプ動作履歴を組み合わせて稼働率を算出した.使用していない機器を数字で示すことで効率的な運用を促すことや,機器台数の見直しをおこなうなど検討を続けたい.