第99回日本医療機器学会大会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション4 標準化Indicatorの現状と問題点―薬機法改正、トレーサビリティ用バーコードはなぜ義務化された―

2024年6月22日(土) 10:00 〜 11:30 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:田中 聖人(京都第二赤十字病院),美代 賢吾(国立研究開発法人国立国際医療研究センター)

10:51 〜 11:08

[パネルディスカッション4] メーカからみたバーコード表示

―行政・医療機関に望むこと

大畑 卓也 (一般社団法人日本医療機器産業連合会 UDI 委員会)

流通シーンでのバーコード利活用は産業界において標準となっているが,バーコード表示の義務化は,これまでの流通効率化に加え,医療安全への貢献が掲げられている.
その医療安全への貢献を実現するには,医療機関でのバーコード利活用が必須と考えるが,それは未だ,標準とは言い難い状況だと認識している.
医療安全へのバーコード利活用では,本体や個装のバーコードを読むことが必要と想定されるが,それらを新たにメーカで実施する場合,生産工程の追加に相応の生産コストが追加で発生することは否めない.
販売単位包装および元梱包装へのバーコード表示については,メーカが自ら流通シーンで活用し,その効果を享受することができたため,表示の推進にも自走力が働いたと考えるが,メーカが関わる流通シーンにおいて,本体や個装のバーコードを読むことはあまり想定されない.故に本体および個装表示への推進にあたっては,その効果をメーカ自らも享受できるスキームを共有できるかが,メーカ側が表示を進める推進力に影響を与えると考える.
メーカ自らが読み取り,利用することが多くない本体表示・個装表示については,医療機関がバーコードを利活用することによって生み出される新たな価値から産業界も含めたステークホルダーが,それぞれに利益を享受できるスキームを協力して設計し,共感し,段階的にでも前進することが望まれる.
一方で外的環境の変化に伴い,バーコード表示への要求が上がってくるという想定に備え,今年度に医機連UDI委員会で予定している取り組みも紹介させていただく.
様々なハードルはあるが,最終的には産官学で協力しておこなう取り組みの結果,本邦の医療が,医療機関が,医療産業が世界に先駆けて発展していくことを期待したい.