第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

教育講演

安全性

教育講演11

安全性

2014年9月20日(土) 08:30 〜 09:30 第1会場 (5F 古今の間北・中)

座長:村中博幸(つくば国際大学医療保健学部 診療放射線学科)

[EL11-1] 条件付きMRI対応埋め込み型不整脈治療デバイス患者のMRI検査実施条件ガイドラインについて

黒田輝1,2 (1.東海大学情報理工学部 情報科学科, 2.千葉大学 フロンティア医工学センター)

 原則MRI禁忌とされている植込み型不整脈治療デバイス(心臓ペースメーカー)に関して,我が国では2012年3月29日に初めて,条件付きMRI対応製品が医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Device Agency, PMDA)によって承認された.以降,相次いで4社の製品が承認された.さらに最近では植込み型除細動器(ICD)ならびに両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)製品も承認され販売に至っている. これらのMRI対応心臓植込み型電気的デバイス(Cardiac Implantable Electronic Devices, CIEDs)の製品自体のMR安全性は,第1号製品を初めとして製造各社における膨大な安全性試験と承認機関による審査に基づいて承認されている. しかしながら,当該デバイスを有する患者を検査する現場では,その受け入れならびに検査実施においてなおまだ格段に厳しい注意が求められる.製品自体の安全性と,それを装着した個々の患者の安全性は同一ではないからである.このため日本不整脈学会,日本医学放射線学会ならびに日本磁気共鳴医学会は,対象患者に対する検査実施の施設基準ならびに実施条件ガイドラインを定め,公開してきた.初版から現在に至るまで幾度かの改訂を加えてはきているが,一貫した方針として,(1)患者安全が第一優先であること,(2)各科の責任範囲を明確にすること,(3)技術的な条件については国際標準化機構(International Organization for Standardization, ISO)の技術仕様TS 10974などに基づいて十分な検討がなされていること,(4)検査実施条件の実用的な目安であって,詳細条件は各施設が実情・患者状況に基づいて定めること,に基づいている. 本講演ではこの施設基準ならびに実施条件ガイドラインの概要とその背景となる技術的要素を解説する.安全な検査の実施にお役立て頂ければ幸いである.