第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

教育講演

安全性

教育講演11

安全性

2014年9月20日(土) 08:30 〜 09:30 第1会場 (5F 古今の間北・中)

座長:村中博幸(つくば国際大学医療保健学部 診療放射線学科)

[EL11-2] MRI検査の安全管理-体内インプラント留置患者の対応-

清野真也 (福島県立医科大学附属病院 放射線部)

MRIの安全性を考える上で考慮すべき物理的因子は、静磁場・変動磁場・ラジオ波の3つである。それぞれの因子が検査環境のなかでどの様に作用しているかを理解しておくことがMRI検査施行する側での重要な役目である。
近年の医療現場においてMRIが臨床診断には欠かせないモダリティーであることは周知の通りであるが、それと同時に検査現場に持ち込まれる医療機材の多種多様化も進んでいる。心臓ペースメーカ、人工内耳、慢性疼痛用神経刺激装置といった、今まで禁忌として扱われていたデバイスが、条件付きMRI対応として急速に各メーカーから出回ってきている。それらの条件が個々に異なっていること、そして同じ用途のデバイスにおいてもMRI対応が異なったものが存在することが現場を混乱させる要因になっている。
体内にインプラントが留置されている患者がMRIを施行するまでには依頼時、検査当日、入室直前と複数のチェック機関を通ることになっている。しかし、実際は患者をセッティングし位置決め画像を撮像した時点で金属アーチファクトに気付き検査を中断・中止する事例を経験する。ここには最近のインプラントはすべて非磁性体であるという誤認、以前にMRIを施行しているから大丈夫といった安易な考えから施行されていることが多い。
国内で流通している多くのインプラントの添付文書には受動型体内インプラントに関してはASTM規格 能動型体内埋め込み機器に関してはISO/TS10974に則った試験成績が記載してある。
現場でMRI検査施行の可否を判断するにはそれぞれの添付文書から判断することになる。添付文書に書かれている条件と自分の使用している装置のスペックを照らし合わせて撮像条件が範疇であるかを知っておくこと、条件を緩和させるための手段を知っていることが重要になる。
安全管理の点から慎重に検査を執り行うことは重要であるが、検査施行者側の安全性に関する誤った知識が、患者のMRI検査から受ける恩恵を損なってはいけない。