第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

教育講演

脳神経

教育講演12

脳神経3

2014年9月20日(土) 08:30 〜 09:30 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:大場洋(帝京大学医学部 放射線科学教室)

[EL12-1] ASLからCINEMAへ~CINEMAの開発動向と臨床応用~

中村理宣 (株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン)

Arterial spin labeling (ASL)とは造影剤を用いることなく、血液中のスピンをRFで磁化ラベリングすることによって血液そのものを内因性のトレーサーとして灌流を評価する手法である。
近年ではASLの技術を応用したASL-MRAが注目されており、高空間分解能と広範囲撮像という特徴に加え、時間軸情報を与えたtime-resolved MRAが頭蓋内動脈ならびに肺動脈や腎動脈に応用されている。われわれの考案したCINEMA (Contrast inherent inflow enhanced multi phase angiography) 法は、造影剤を用いることなく頭蓋内血管の血行動態を高時間分解能と高空間分解能で観察可能としたtime-resolved MRAであり、さまざまな臨床応用が期待されている。
従来のASL-MRAによるtime-resolved MRAは、ラベリングしてから信号を収集するまでの遅延時間をデータ収集毎に変更しながら撮像することで、血液の到達ポイントの変化を画像化する手法であった。しかし、遅延時間の異なる撮像を複数回繰り返す必要があるため、検査時間の大幅な延長を伴い臨床検査で応用することが難しかった。一方、CINEMAで採用しているLook-Lockerサンプリングは、任意のプレパレーションパルスの後に遅延時間の異なる複数のデータ収集を行うことにより、1回の撮像で時系列情報が得られ大幅な時間短縮を実現できる。
CINEMA法のラベリングタイプには、STAR、FAIR、pCASLがあり、それぞれラベリングタイプの特徴を活かし高時間分解能化、血管選択的、さらには血液の到達時間をカラー表示したtime-of-arrival mapを得ることが出来る。
今回は、CINEMA法の原理、シーケンスデザインとバリエーション、そして臨床応用と使い分けについて解説する。