[O-1-014] MRIにおけるCJD診断能の磁場強度による違いの検討
【目的】多施設でのCJDサーベイランス症例を対象として、拡散強調像とFLAIR像におけるCJDの診断能について、3Teslaと1.5Teslaで差があるか検討することが目的である。【方法】サーベイランスに登録された症例のうち、同日あるいは1週間以内に3Teslaと1.5Teslaの装置にて同様のシークエンスで撮像できた対象について、厚さの異なる拡散強調像及びFLAIR像のCJD検出能の読影実験を行った。対象症例は14症例で、CJD症例が11症例、非CJD症例が3例である。読影は、大脳皮質、線条体、視床についてそれぞれの異常の検出能を検討し、すべてを総合したCJDらしさの診断能について連続確信度法で評価した。CJDの診断は、サーベイランス委員会でdefinite CJDあるいはProbable CJDと判断されたものを陽性とした。各部位の画像所見については、2名の放射線科専門医がすべての画像を総合的にみて信号変化ありと判断されたものを陽性とした。一致性について級内相関係数を、診断能についてROC解析を行って検討した。研究内容については、全施設での倫理承認を得ている。【結果】診断の一致性は、視床で最も低く、線条体でもばらつきがあり一致性は低かった。1.5Teslaと3Teslaの拡散強調像では、大脳皮質の診断能が3Teslaで低い傾向を認めたが、線条体ではむしろ3Teslaが高い傾向を認めた。FLAIRでは、3 Teslaの診断能が有意に低く、特に大脳皮質での検出能の低下が認められた。総合診断能は1.5Teslaと差異がない。また、3mm厚と5mm厚との診断能の差は少なく、ほぼ同等であった。【結論】CJDにおける拡散強調像の総合診断能自身は、1.5Teslaと3Teslaとで差は認めなかったが、大脳皮質のみをみると3Teslaの検出能が低い傾向が認められた。また、3TeslaでのFLAIRの診断能は他の手法にくらべて有意に低いことが示された。以上から特に拡散強調像で皮質タイプの高信号を呈するCJD症例については、3Teslaでの診断能が低下することに留意すべきである。本研究は厚労省科学研究費難治性疾患の援助を受けた。