[O-1-052] 肝臓におけるIntravoxel Incoherent Motion(IVIM)測定手法に関する検討
【目的】肝臓のIVIM測定において、D(真の拡散係数)、D*(疑似拡散係数)、f(潅流の占める割合)の値は、同一肝臓であっても測定毎に異なることをしばしば経験する。この測定値の変動について、撮影条件を変え、比較・評価することを目的とする。【使用装置・撮影条件】GE社製 optima MR450w 1.5T、GEM coil、Excel solver、統計解析ソフトR2.8.1、b値0~800s/mm2の9~15point、NEX 1~4、呼吸同期(Resp interval 2)、TE:minimum、FOV36cm、マトリックス:128*192、ASSET 2.0、Diffusion direction:3in1【方法】同意を得た正常ボランティア1名(男性、年齢29歳)に対し、撮影条件を変えて、それぞれ10回ずつ肝臓のIVIM測定を行った。撮影条件として、b値のpoint数を変えた場合とNEXを変えた場合で検討を行った。b値のpoint数は、9から15pointとし、NEXは1から4とした。また、IVIMモデル式に対するフィッティング法には、完全非線形近似法を用いた。なお、計測ROIは、肝右葉、かつ脈管を含まないようにROIの大きさ50pixel程度で10点設定した。IVIM各測定値は、10点のROIの平均値を用いて算出した。得られた測定値に対し有意差検定を行い、比較した(有意水準は、p=0.05もしくは、p=0.01とした)。次に、計測ROIの設定の仕方によって、測定者間でIVIM測定値がどの程度異なるのかを確認した。計測ROIの設定の仕方は、(1) 脈管を含まないように設定する場合 (2) (1)且つROIの大きさを統一した場合 (3) (1)且つ(2)且つROIのSD値に上限値を設けた場合の3つとした。測定者は、放射線技師3名とした。【結果】b値のpoint数、NEX数を変えたときの各測定値に有意差があるとは言えなかった。また、どの条件下においてもD*の測定値が最も変動した。計測ROIの設定の仕方は、(3)の方法が3つの条件下では、測定値の変動が少ない結果となった。【考察】肝臓のIVIMでは、データ収集時の測定誤差が含まれるということ、測定者によっても測定値が異なるということを想定して、IVIM測定値を取り扱わなければならないと考えられる。また、計測ROIの設定法に基準を設けることによって、測定者間の測定値の変動を低減させることができることが示唆された。