[O-1-064] 3.0TMRI装置による肝臓の脂肪定量~1H-MRSと2point-DIXON法の比較~
【背景・目的】画像診断による肝臓脂肪含有量(Hepatic Fat Fraction:HFF)の定量には、肝臓全体の情報が得られるmulti-point-DIXONによる方法(DIXON-HFF)と、定量性が最も高いと考えられる1H-MR spectroscopyによる方法(MRS-HFF)がある。この2つの手法を比較した報告は数多く存在するが、肝内でMRSを測定した箇所のみでHFFを比較したものが多く、肝臓全体にびまん性に沈着する肝脂肪に対して、複数箇所のMRS測定を行って、DIXONと比較する報告はないため、今回検討を行った。【方法】使用装置はingenia3.0T(PHILIPS社製)、画像解析ソフトAnalyze13(エルエイシステムズ)。MRS撮像条件は全演題と同様で、TE 35/45/55/65msec(PRESS),またTE10msec(STEAM)とした。MRIは2point-DIXON: TR 3.4msec、TE 1.14/2.2msec、FA 10、matrix 176×208、撮像時間17sec。対象は肝臓MRI/MRSを施行し、前後1ヶ月以内に肝生検にて組織学的な脂肪肝の診断を行い得た30症例。MRSは肝右葉S6付近と、DIXONにて最も肝内で脂肪量が多いと判断された2カ所において測定した。【成績】肝S6におけるDIXON-HFFとMRS-HFFの値は、r=0.77と良好な相関関係であった。脂肪化10%以下では両者ほぼ同等、脂肪化10-30%、r=0.96、DIXON=0.65×MRSの関係であり、脂肪化30%以上ではDIXON=0.92×MRSの関係であった。これは、2point-DIXONでは肝臓脂肪のうち、大きなのCH2ピークのみを検出している影響と考えられ、ほぼCH2ピーク以外が無視できる10%以下の脂肪肝と、10%以上でCH2以外のピークが無視できない違いと考えられ、さらには30%以上では2point-DIXONでもCH3を計測しているために測定値が近似すると考えられた。また、肝内でもっとも脂肪量が多いと判断された箇所のMRS-HFFは、まだらな脂肪肝症例では、いずれもS6よりも高い値を示した。ただし、2point-DIXONの元画像のみで視覚的に脂肪量の多い場所を決定するのには限界があり、画像処理ソフトなどで、カラーの脂肪MAPを作成したほうが、脂肪量の多い箇所をより正確に決定可能であった。今後、LC modelによる再検討を行う予定である。