[O-1-072] 経直腸コイルを用いた前立腺癌におけるComputed DWIの有用性
[目的]Computed DWI(cDWI)は低いb valueから測定したADCに基づき、任意のb値の計算画像を作成することである。経直腸コイルでは撮像範囲をしばしば限局することにより高いb valueにおける信号雑音比(SNR)の低下の問題があり、画質不良例も経験される。そこで、通常のDWIと経直腸コイルにおけるcDWIの特性を比較して有用性を検討した。[方法]SIEMENS社製MAGNETOM Skyra、Loop coil 11、MEDRAD社製Endorectal coilを用いて、FOV=100mm、TR=8000ms、TE=84ms、Base resolution=80、slice thickness=2.5mm、b value=0,1500s/mm2、を基本条件としてDWIの撮像を行った。また、b valueの組み合わせを0と500,700,900,1100,1300に変更しb value=1500相応のcDWIを作成し以下の項目を検討した。1.ファントムによるSNRの比較。2.ファントムによる模擬病変(ADC = 0.8,1.2×10-3mm2/s)のADC変化の比較。3. 生検にて前立腺癌と診断された20人の患者(平均68歳)における正常組織と病変部とのCNRの比較。[結果・考察]ファントムによるb value増加に伴うSNRの低下はb value=1100から顕著に低下する傾向が認められた。また、ADCの比較は模擬病変0.8×10 mm2/sでb value=900、1.2×10 mm2/sでb value=700の時、最も近い値を示した。実際の患者によるCNRでは通常のDWIと比較してcDWIの方が優れる結果となった。cDWIにより低いb valueによる画質の改善が認められ、背景組織の抑制が可能なため最適なb valueの最適化により検査精度の向上に有用であると示唆された。