[O-1-074] APTイメージングを用いた前立腺癌評価
【目的】前立腺癌評価におけるAPTイメージングの有用性を検証する。【方法】針生検にて前立腺癌と診断された105名(平均年齢68.4歳)を対象とした。3T MRI装置を用いて、T2強調像や拡散強調像などに加えて、amide proton transfer(APT)イメージングを撮像した。癌部と癌のグリソンスコア(GS)および非癌部は針生検結果を参照した。APTイメージングは2D-TSE法を用いて、オフセット周波数を-6 ppmから6 ppmまで、0.5 ppm毎に変化させて撮像した。参照画像(S0)は-160 ppmで撮像した。飽和パルスは0.5 秒、1秒、2秒の3種を用い、強度は2.0 μTとした。δB0補正のためにδB0マップも撮像した。APT信号強度(APTSI)は、APTSI = {S[-3.5ppm] - S[+3.5ppm])/S0}×100 (%)と定義し、ピクセル毎に計算した後にAPTマップを作成した。評価の対象とした病変は、MRIで同定可能であり、かつ直径2cm以上である、計66病変とした。病変はGSにより4グループGS6 (3 + 3, n = 23)、GS7 (3 + 4又は4 + 3, n = 18)、GS8 (4 + 4, n = 11)、GS9 (4 + 5又は5 + 4, n = 14) 、に分けて評価した。APTマップ上に関心領域を設定し、グループ毎のAPTSIの平均値及び標準偏差を算出した。また、グループ毎のAPTSIの平均値は一元配置分散分析後にチューキー法を用いて多重比較した。【成績】各グループのAPTSI (%)は、GS6 2.48 ± 0.59、GS7 5.17 ± 0.66、GS8 2.56 ± 0.85、GS 9 1.96 ± 0.75だった。APTSIの平均値は、GS6とGS7、GS7とGS9の間に有意差があった(p<0.05)が、GS 6とGS8、GS6とGS9、GS7とGS8の間には有意差は認めなかった。【結論】APTSIはGS7で最も高値であった。APTSIの増減は、腫瘍悪性度(細胞密度や増殖能など)に加えて、腺組織の構造変化を反映していると考えられる。