第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

躯幹部拡散-基礎

躯幹部拡散-基礎

2014年9月18日(木) 11:20 〜 12:10 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:押尾晃一(慶應義塾大学医学部 放射線診断科)

[O-1-079] 拡散強調画像における脂肪抑制法がADCに与える影響

鈴木真1, 吉丸大輔2, 江島光弘1 (1.東京女子医科大学病院 中央放射線部, 2.東京女子医科大学八千代医療センター 画像検査室)

【目的】拡散強調画像は一般的にsingle-shot EPI(ssh-EPI)法を用いることが多い。しかしssh-EPI法は様々な欠点もあり、その中にケミカルシフトアーチファクト、Nハーフアーチファクトという問題がある。よって拡散強調画像において脂肪抑制法は必須であるが、脂肪抑制法には様々な手法がある。本研究では、骨盤部の前立腺周辺においての拡散強調画像における脂肪抑制法がADCに与える影響について検討した。
【使用装置・方法】使用装置は東芝社製Vantage Titan 1.5Tである。当施設の倫理委員会の承認を得、同意の得られた健常の男性ボランティア12名(34.8±7.9歳)の骨盤部の拡散強調像を撮像した。脂肪抑制法としてCHESS、Enhanced Fat Free、PASTA、STIRの4種類と、脂肪抑制無しの計5種類撮像した。得られた画像より、(1)前立腺内腺域のADCを計測し、それぞれの脂肪抑制法で検討した。(2)脂肪抑制なしのb1000画像において脂肪の信号をROI(ROIa)で囲い、同じ位置で脂肪抑制法ありの画像でROI(ROIb)を囲い、得られた値より脂肪抑制率を求めた。(3)脂肪抑制法ありのb1000画像において、血管や信号ムラを含まない筋肉の位置でROI(ROIc)を囲い、ROIbとROIcより画像の不均一性を求めた。(4)脂肪抑制法ありのb0画像より、同一関心領域法でSNRを求めた。それぞれの実験において有意差検定を行った。
【結果】(1)ではPASTAのADCが有意に低かった。(2)ではCHESSの脂肪抑制率が有意に悪く、(3)でも同様にCHESSの不均一性が有意に高かった。(4)ではSTIRのSNRが有意に低かった。
【考察】PASTAによる脂肪抑制法が他の脂肪抑制法に比べて有意にADCが低かった。(2)、(3)より脂肪抑制ムラが多く、不均一な画像となる脂肪抑制法はCHESSであり、PASTAは均一な脂肪抑制が行えていた。(4)よりSNRはSTIRが一番低く、PASTAは若干低いものの、有意差はでなかった。よってPASTAは均一な脂肪抑制が行われているにも関わらず、ADCが低くなることがわかった。