第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

乳腺-拡散

乳腺-拡散

2014年9月18日(木) 13:30 〜 14:10 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:川島博子(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 量子医療技術学講座)

[O-1-085] 乳癌におけるADC値とARFIエラストグラフィを用いたshear waveの伝搬速度との関係について

堀越浩幸1, 小林倫子1, 岡山絢1, 宮本健志2 (1.群馬県立がんセンター 放射線診断部, 2.群馬県立がんセンター 乳腺外科)

【目的】乳癌の定量診断に対しMRIにおけるapparent diffusion coefficient(ADC)値の測定とacoustic radiation force impulse (ARFI)エラストグラフィを用いたshear waveの伝搬速度の測定が存在している.ADC値は病変の細胞密度をshear waveの伝搬速度は病変の硬さを反映しており,各々の相関について詳細な検討はされていない.今回,病理結果が得られた乳癌に対し, ADC値とshear waveの伝搬速度の相関係数を算出し検討を行った.【対象と方法】対象は術前にMRI,USを施行,ADC値とshear waveの伝搬速度(Vs)を測定し,術前化学療法無施行で手術を施行し病理結果が得られた乳癌30例(内訳:浸潤乳管癌20,非浸潤乳管癌6,浸潤性小葉癌4)である.使用機種はMRIがMAGNETOM Trio A Tim(シーメンス社製)で16 channel breast coilを用いてDWI(b=0,1000)を撮影し,ADC mapを作成,病変部のADC平均値(mean), ADC最小値(min)を測定した.使用USはACUSON S2000でARFIエラストグラフィを撮影,病変部のVsを3回測定し平均値を算出した.得られた各データ間の相関係数を算出した.【結果】病変部のADCmean, ADCminの平均値は0.99×10-3mm2/sec, 0.91×10-3 mm2/secであった.病変部のVsは11例でX.XXm/sと表示され測定値が得られなかった(浸潤癌10,非浸潤癌1).Vsの得られた19例のADCmean, ADCmin,Vsの平均値は1.04×10-3 mm2/sec, 0.95×10-3 mm2/sec,0.61m/sで無相関であった.X.XXm/sに測定最高値(8.4m/s)を代入するとADCmean,ADCminとVs間に相関が得られた(-0.40, -0.41).【結論】Vsの得られた病変群ではADC値とVsの相関は得られなかったが,浸潤癌でVsが得られない症例が多く,乳癌の正確なVsを測定できなかったためと考えられた.一方,浸潤癌でVsが測定可能になればADC値との相関が得られることが示唆された.