第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

脳-画像処理

脳-画像処理

Thu. Sep 18, 2014 3:40 PM - 4:30 PM 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:北垣一(島根大学医学部 放射線医学講座)

[O-1-098] Real-IR 3D T1-Weighted Black-Blood法を用いたVessel wallイメージングの検討

森美加1, 小林邦典1, 宮崎功2, 大戸眞喜男2, 木村徳典3, 五明美穂4, 似鳥俊明4 (1.杏林大学保健学部 診療放射線技術学科, 2.杏林大学医学部付属病院 放射線部, 3.東芝メディカルシステムズ(株), 4.杏林大学医学部 放射線医学教室)

【背景・目的】近年、脳梗塞の予防の観点から原因となる頸部や脳の主幹動脈を対象としたVessel Wall imaging(VWI)の重要性が高まってきている。血管壁の情報を得るための血流信号の抑制にはpreparationとしてflow saturation(flowSAT)やdouble IR(DIR)を使用した手法が用いられてきたが、信号抑制の精度の向上と、より細い血管でのVWIの必要性から新たな手法が求められていた。最近ではmotion-sensitized-equilibrium(MSDE)などdephaseを併用した3D手法が実用化されたが、モーションアーチファクトや渦電流の影響が問題とされている。今回我々はIRパルスをpreparationとした3DFFEにReal再構成を組み合わせたReal-IR 3D T1-Weighted Black-Blood(Real-IR BB)法の臨床応用への可能性を検討した。【方法】Real-IR BB法はIRパルスによってラべリングされ、画像スラブ内に流入した血液の縦磁化が負の時間(TI)以内であれば、Real再構成を併用することにより血流を黒く描出する方法である。そのため通常の振幅画像でTIのnull pointを用いる方法に比べTIの設定が寛容であることが特徴である。この手法が成立する理想的条件として、(1)スラブ内の血管に縦磁化の反転された血液が充満していること、(2)次のIRパルスまでにラべリングされた血液が流れ去っていることの2点が必要となる。TIによるT1コントラストの変化を確認するためのファントム実験と、頚動脈分岐部、頭蓋内内頚動脈、椎骨脳底動脈を対象に当院の倫理規定に基づき承認を得られた健常ボランティアによるTIなどのパラメータの検討を行った。MRI装置は東芝製Vantage TitanTM 3Tである。【結果・考察】Real IRによりnulling point以前のTIでは血流信号の抑制が可能であった。しかしスラブ内全域で血流信号を抑制するための(1)(2)の条件を満たすために、対象とする血管ごとに最適条件は異なることが示唆された。この条件下でのTIが画像コントラストに及ぼす変化はT1強調像として許容できる範囲であった。Real-IRを用いたBBはmagnitudeベースの手法に比べTIの設定の自由度が大きくVessel wallイメージング手法として有用であると考えられる。