第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

頭頸部

頭頸部

2014年9月18日(木) 11:30 〜 12:00 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:小玉隆男(宮崎県立宮崎病院 放射線科)

[O-1-115] 通常量 Gd 静注による内リンパ腔体積測定 : 撮影時間 18 分と 8 分の 2 種のプロトコルの比較

大橋俊夫1, 加納麻衣1, 篠畑隆一1, 片桐稔雄1, 久野佳也夫2, 長縄慎二3 (1.総合上飯田第一病院 放射線科, 2.総合上飯田第一病院 耳鼻科, 3.名古屋大学医学部附属病院 放射線科)

【目的】 メニエール病など、多くの内耳疾患において、膜迷路の内リンパ水腫を診断することは極めて重要である。これを評価するために、MR 画像において、通常量 Gd 静注による内リンパ腔を可視化する手法が提案されている。汎用性が高く、軽易な手法であるが、長時間に及ぶ撮影と微細な構造を対象にする特性上、時として体動によるアーチファクトを経験する。
今回の目的は、撮影時間短縮のために加算回数 ( 信号雑音比 ) を減らしても、内リンパ腔の評価に耐えうる画像が得られるのか検討することである。
【方法】 対象は内リンパ水腫が疑われた 10 例。通常量 Gd 静注 4 時間後に次の 2 種類の画像を撮影した。
T2 weighted 3D-turbo spin echo(SPACE):MR cisternography(MRC).TR/TE=4400/544ms。
SPACE FLAIR:positive perilymph image(PPI).TR/TE=9000/544ms,TI2250ms。
このうち PPI の加算回数を変化させて画像を評価した。いずれもスライス厚は 1mm、FOV は 196×165mm である。使用装置は 3T MRI (MAGNETOM Skyra 3.0T,SIEMENS)、32ch phased array head coil。
得られた画像を (PPI-0.04×MRC)=HYDROPS2,(HYDROPS2×MRC)=HYDROPS2-Mi2 と処理した。
定量評価として MRC 上すべてのスライスにおいて蝸牛と前庭にそれぞれ ROI を作成し、これを内リンパ腔、外リンパ腔を合わせた全体のリンパ腔として、その体積を求めた。次に同じ ROI を HYDROPS2-Mi2 にペーストし、ROI 内の負の信号値が内リンパ腔を示すものとみなして内リンパ腔の体積を求めた。PPI の加算回数を 4 から 1.4 に減らしたとき、すなわち MRC との合計撮影時間を 18 分から 8 分へ短縮させたときのリンパ腔全体に対する内リンパ腔の体積比の変化を評価した。
【結果】 撮影時間が 18 分と 8 分の 2 種のプロトコル間において、全リンパ腔に対する内リンパ腔の体積比は蝸牛、前庭の両者ともに強い相関がみられた。( 蝸牛 :r=0.957、前庭 :r=0.972 )
【結論】 内リンパ腔の評価において加算回数を減らすことで撮影時間を短縮できる可能性が示唆された。