第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

PET-MRI

PET-MRI2

2014年9月18日(木) 15:20 〜 15:50 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:久保均(福島県立医科大学 ふくしま国際医療科学センター 先端臨床研究センター)

[O-1-129] 定位固定外部放射線源を用いたPET/MRI減弱補正法(FixER法):線源位置の影響の解析

川口拓之1, 平野祥之1, ジェフ カーショー1, 吉田英治1, 白石貴博1,2, 菅幹生3,4, 小畠隆行1,2, 伊藤浩1, 山谷泰賀1 (1.放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター, 2.放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院, 3.千葉大学 フロンティア医工学センター, 4.千葉大学大学院工学研究科)

【目的】我々は定位固定した外部放射線源を用いて計測した透過データとMRIの領域分割画像から被験者本人の線源弱係数(μ値)を求めるPET/MRIの減弱補正法 (attenuation correction with Fixed-position External Radiation: FixER)を提案した。本研究ではFixER法における放射線源の位置が推定されるμ値に及ぼす影響をシミュレーションで検討した。
【方法】シミュレーションはGeant4.9.6を用いて行った。成人男性の頭部T1強調画像をSPM8により空気、骨、脳、脳以外の軟組織に分割し、文献を参考に各組織の組成や密度を割り当てた。これをHR+を模したスキャナの中心に配置し、1 MBqの22Na点線源をボアの中心から15, 20, 25, 30, 35, 40cm下部に置いたそれぞれの場合で、180秒間の透過データ計測を模擬して組織線源弱に伴うカウント変化を求めた。さらに、線源と各検出器を結ぶ直線と領域分割画像から透過データ取得時にそれぞれの組織を通過する線路長を求めた。カウント変化と線路長からLambert-Beer則に従って各組織のμ値を求めた。また、Geant4.9.6のサンプルプログラム(TestEm13)を用いてμ値を求め、これを基準とした評価をした。
【結果】サンプルプログラムで求めた骨、脳、軟組織のそれぞれのμ値は0.104, 0.129, 0.094 cm-1であった。これを基準として180秒間の透過データから求めたμ値を評価すると、線源をボア中心から40 cm下部に設置した際に最も大きな誤差が生じ、このときの脳のμ値は9.3%の過小評価であった。この場合を除き、脳のμ値は線源の位置に関わらず基準と同等の値で推定された。一方、骨や軟組織のμ値は線源の位置に依存して若干ばらつき、この傾向は骨でより顕著だった。これは骨の体積が脳や軟組織よりも小さいためであると考えられる。
【結論】成人頭部においてFixER法を用いる場合には位置に依存して若干のμ値のばらつきはみられたものの、いずれの位置でも弱い線源による180秒の透過スキャンで10%未満の誤差で推定できることが示された。