第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

心臓

心臓1

2014年9月18日(木) 15:50 〜 16:40 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:佐久間肇(三重大学大学院医学研究科 放射線医学教室)

[O-1-133] 心臓ドックにおける冠動脈MRA描出能の検討-1.5Tと3Tの比較-

竜由香梨, 野田誠一郎, 豊成信幸, 片平和博 (国家公務員共済組合連合会熊本中央病院)

(目的)非造影冠動脈MRI(以下MRCA)は、非侵襲的に冠動脈を描出することが可能である。MRCAの特徴として脈や呼吸が一定でない患者の撮像はしばしば難渋するが、脈や呼吸の安定した群を対象とするとMRCAは格段に成功率が上がることが知られている。そこで当院では、2010年度より健診にて、MRCAをオプションとして(心臓ドック)撮像を開始した。3TMRI装置を用いたMRCAではSARの制限や磁化率などを考慮し、通常の1.5TMRI装置で使用するbalancedシーケンスは用いず、TFEシーケンスを使用している。今回心臓ドック受検者において、3T装置で撮像したMRCAと1.5T 装置で撮像したMRCAの画質の比較検討を行った。(方法)対象は1.5T装置で健診MRCAを施行した2011年1月から12月の28症例(男性 22例、女性6例、年齢52.6歳±7.3;42-72歳)と3T装置でMRCAを施行した2013年1月から12月の49症例(男性40例、女性9例、年齢59.3±11.2歳;40-89歳)である。1)RCA,LAD,LCX3枝に分けて4段階視覚的評価(excellent、good、moderate、poor)を行う。2)冠動脈と心筋のCR(contrast ratio)を測定する。1.5T装置は、Philips社製Achievaで、3T装置は、Philips社製Ingeniaを用い、それぞれ32チャンネルコイル(3T装置はデジタルコイル)を用いた。(結果)1)視覚的評価は4段階評価平均で1.5T RCA3.93 LAD3.93 LCX3.93 、3Tでは RCA3.81LAD3.67LCX3.63であった。いずれも描出能は優れていたが、1.5T-MRIは3T-MRIより描出能は優れており、有意差がみられた。2)冠動脈と心筋のCRは3T-MRIが1.5T-MRIより有意に優れていた。(考察)MRCAは一般に造影CTが普及しているが、心臓ドックのようなスクリーニング検査には造影CTは適しておらず、MRCAが推奨される。さらに心臓ドックでは呼吸や脈拍などが安定していることが多く、MRIでも十分な情報を得ることができた。心臓ドックのような検査条件が良い対象にはMRCAは有効な手段であると考えられた。MRCAはbalanced撮像可能な1.5テスラ装置が有利であるが、今回の検討では3テスラ装置でも若干描出能が落ちるもののCRは高く十分な情報を得ることができ、磁場強度を選ばずとも冠動脈ドックに適していると考えられた。