[O-2-151] 上腹部MRAにおけるGRASE(Gradient and Spin Echo)-VISTA(Volume ISotropic Tse Acquisition)GRAVIAの検討
【目的】従来上腹部でのVISTA(Volume ISotropic Tse Acquisition)法(以下VISTA) を用いたBlack-Bloodの撮像は呼吸同期を用いることもあり長い撮像時間を必要としていた.そこで上腹部において,1回の息止めの撮像で,GRASE(Gradient and Spin Echo)併用のVISTA(以下GRAVIA)を用いたBlack-Bloodの撮像の検討を行った.【使用機器】Philips社製Achieva1.5T,SENSE+Cadiac 32ch Coil【方法】健常ボランティアを対象に撮像した画像の比較検討を行った.本研究は当院倫理委員会の承認を得ている.GRASEはTSEとEPIを組み合わせた撮像方法である.撮像条件は統一としstartup echoes,Refocusing Angle,EPI factorを検討項目としてそれぞれ値を変化させ撮像した画像の比較検討を行った.【結果】startup echoesを6回より大きくするとボケの目立つ画像となり,5回の時でボケの影響が少なく血管辺縁が良好な画像が得られた.Refocusing Angleについては40°や50°においても大血管などの信号は抑制されたが,30°の場合でより信号を抑えることができ,肝臓内の末梢まで良好なBlack-Blood画像が得られた.EPI factorは息止めの時間を考慮し5回とした.【考察】GRASEを使用することで,EPIの磁化率に弱い特性を逆に利用してより信号を抑制させることができ,それによって30°のRefocusing Angleで肝臓内の末梢まで良好なBlack-Blood画像が得られたと考える.EPI factorは3回と5回で画像上では大きな差は見られなかったが,7回まで増やすとブラーリングの影響が出てきてしまい,息止めの時間を考慮して5回とした.息止めで撮像することで,自由呼吸下より腹壁の動きや腸管の蠕動運動のアーチファクトが低減され,血管内への影響を抑制できたと考える.【結論】GRASE(Gradient and Spin Echo)-VISTA(Volume ISotropic Tse Acquisition)GRAVIAを用いることで1回の息止めで良好なBlack-Blood画像が得ることができ臨床において有用性の高いシーケンスであると考える.