[O-2-172] 拡散強調像に基づく新たな脳内鉄定量法の開発
【背景・目的】大脳基底核にみられる鉄沈着はパーキンソン病などの神経変性疾患と深く関連することが知られている。そのためR2’や位相画像に基づく鉄定量法が提案されているが、灌流や拡散の影響を受けている可能性がある。本研究では、組織内外の灌流や拡散の影響を最小限としたDWIに基づく新たな脳内鉄定量法を開発することを目的とした。
【方法】対象はアカゲザル4頭(オス、平均11歳)とし、ヒト用3TMRI(Siemens, Germany)にて独自開発4ch phased-arrayコイルで撮像を行った。撮像法はsingle-shot spin-echo EPIとし、磁性体に対して感度が異なる極性をそれぞれもつ拡散検出磁場(mono-polarおよびbi-polar gradient:MPG、BPG)を用いて2種類のDWIデータを取得した(0~3000 s/mm2の異なる9個のb値、TR/TE=3000/89 ms、motion probing gradient=1軸、2 mmの等方ボクセル)。また、超微細鉄粒子造影剤(USPIO)静注後も同撮像を行った。興味領域(ROI)は、黒質(SN)、淡蒼球(GP)、視床(Th)、大脳皮質(Cortex)とし、DWI信号解析にはkurtosis modelを用いた。また、パラメータ推定には初期値に依存しない独自開発の信号データベース探索法を用いた。MPGとBPGで得られた拡散係数をそれぞれD’、Dとしたとき、鉄定量パラメータをξ[Fe] = 1-D’/Dと定義した。ROI解析に加え、ξ[Fe]マップも作成した。解析ソフトウェアはMATLAB(The MathWorks, USA)にて開発した。
【結果】生理的鉄沈着がみられるSN、GP(9.3±0.61、11.7±0.98 ×10-2)では、Th、Cortex(0.69±0.80、2.8±0.61 ×10-2)に比べ、ξ[Fe]が有意に上昇していた(p<0.05)。また、過去の病理学的報告(Hardy,et al,J Magn Reson Imaging 2005)に従い、年齢から推定されたSNとGPの鉄沈着量は、ξ[Fe]と強い相関を示した(R2=0.7949、p=0.003)。USPIO静注後、ξ[Fe]は有意に増加(p<0.0001)し、特にTh、CortexはSNとGPに比べ、変化量Δξ[Fe]が大きい傾向がみられた。
【結論】DWIに基づく新たな鉄イメージング法は、大脳基底核の生理的鉄沈着量を定量できる可能性がある。
【方法】対象はアカゲザル4頭(オス、平均11歳)とし、ヒト用3TMRI(Siemens, Germany)にて独自開発4ch phased-arrayコイルで撮像を行った。撮像法はsingle-shot spin-echo EPIとし、磁性体に対して感度が異なる極性をそれぞれもつ拡散検出磁場(mono-polarおよびbi-polar gradient:MPG、BPG)を用いて2種類のDWIデータを取得した(0~3000 s/mm2の異なる9個のb値、TR/TE=3000/89 ms、motion probing gradient=1軸、2 mmの等方ボクセル)。また、超微細鉄粒子造影剤(USPIO)静注後も同撮像を行った。興味領域(ROI)は、黒質(SN)、淡蒼球(GP)、視床(Th)、大脳皮質(Cortex)とし、DWI信号解析にはkurtosis modelを用いた。また、パラメータ推定には初期値に依存しない独自開発の信号データベース探索法を用いた。MPGとBPGで得られた拡散係数をそれぞれD’、Dとしたとき、鉄定量パラメータをξ[Fe] = 1-D’/Dと定義した。ROI解析に加え、ξ[Fe]マップも作成した。解析ソフトウェアはMATLAB(The MathWorks, USA)にて開発した。
【結果】生理的鉄沈着がみられるSN、GP(9.3±0.61、11.7±0.98 ×10-2)では、Th、Cortex(0.69±0.80、2.8±0.61 ×10-2)に比べ、ξ[Fe]が有意に上昇していた(p<0.05)。また、過去の病理学的報告(Hardy,et al,J Magn Reson Imaging 2005)に従い、年齢から推定されたSNとGPの鉄沈着量は、ξ[Fe]と強い相関を示した(R2=0.7949、p=0.003)。USPIO静注後、ξ[Fe]は有意に増加(p<0.0001)し、特にTh、CortexはSNとGPに比べ、変化量Δξ[Fe]が大きい傾向がみられた。
【結論】DWIに基づく新たな鉄イメージング法は、大脳基底核の生理的鉄沈着量を定量できる可能性がある。