第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

磁化率画像

磁化率画像2

2014年9月19日(金) 10:30 〜 11:10 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:米田哲也(熊本大学大学院生命科学研究部 医療技術科学講座)

[O-2-180] QSM : MEDI法による解析 神経変性疾患診断への応用

若山季樹1,3, 井田正博1, 村田勝俊2, 漆畑勇太2, 斉藤健二1, 植田貴司1, 堀内彰1, 新井和樹1, 山下明1 (1.公益財団法人東京都保健医療公社荏原病院 放射線科, 2.シーメンス・ジャパン株式会社 イメージング&セラピー事業本部 リサーチ&コラボレーション部, 3.首都大学東京大学院人間健康科学研究科 放射線科学域)

【原理・目的】
定量的磁化率マッピング(quantitative susceptibility mapping :QSM)は、組織が持つ磁化率を定量評価できるようにマッピングする手法であり、MRIのmagnitude画像と位相画像を用いて、無次元のパラメータである磁化率を算出する。QSMの作成において磁化率分布を近似的に求める方法の一つが、MEDI(Morphology Enabled Dipole Inversion)法である。MEDI法では、まず複数のTEにより得られた位相画像より撮像領域内の磁化率により発生した磁場Mapを作成する。その磁場Mapを用いて、磁化率Map計算誤差の二乗総和を正則化項とし、組織境界以外の磁化率Mapの勾配の絶対値総和を最小化するように逐次計算を行っている。
本研究の目的は、正常例における線条体の鉄沈着定量評価および神経変性疾患(特に Parkinson 病)における線状体上鉄沈着の評価の有用性を検討することである。
【使用装置】
MAGNETOM Avanto (1.5T, シーメンス)およびTrio(3.0T, シーメンス)を用いて撮像を行った。撮像には、3D GRE系シーケンス(TR:55[ms],TE:3.6,9.51,15.43,21.34,27.26,33.17,39.09,45.00[ms])を用い、画像解析には、Cornell MRI Research Groupが開発したmatlab上で動作するMEDI_toolboxを用いた。解析に用いたMATLABのバージョンはR2014Aを用いた。
【方法】
撮像および解析対象は変性疾患や血管障害の既往歴及び現病歴のない15例および神経学的に Parkinson 病と診断された15例である。
【結果・考察】
加齢とともに線条体の生理的鉄集積は増加する。特に被殻外側後半部から集積増加がみられる。しかし個体差も大きい。 パーキンソン病でも可視評価で18.8%に被殻外側後半部に異常鉄集積が認められる。ただし、個体差が大きく、神経学的な重症度とも相関しない。また正常例との間に overlap がある。半定量評価では、線条体全体評価では有意差を認めないが、被殻外側後半部に限局した評価では、パーキンソン病群で鉄沈着が高い傾向にあった。
【結語】
QSMは加齢に伴う生理的値鉄沈着の評価および変性疾患における鉄沈着の評価に有用である。