[O-2-183] Gd造影JET併用IR法による後頭蓋窩転移性脳腫瘍の描出能の検討 ―3D-GRE法との比較―
【目的】脳転移の検出にGd造影3D-gradient echo(3D-GRE)法は有用であるが,静脈の濃染により小病変の評価が困難な事がある。我々は,第41回本大会にて体動補正技術JET法を併用したIR(JET-IR)法の有用性及び至適撮像条件について報告した.今回は,後頭蓋窩の脳転移の描出能について3D-GREとJET-IRとの比較検討を行ったので報告する.【方法】対象は,2012年4月から2013年12月までに小脳テント下に脳転移を認めた28例93結節(2~30mm径)である.JET-IR(横断像,冠状断像,矢状断像)と3D-GREとの結節描出能及びJET-IRの静脈信号抑制能について,脳外科医1名及びMRI検査経験5年以上の診療放射線技師3名の合議により評価を行った.結節描出能は,3D-GREと比較しJET-IRで4;明瞭に描出, 3;同等, 2;不明瞭, 1;描出されない,静脈信号抑制は,直静脈洞,横静脈洞,S状静脈洞,末梢静脈をそれぞれ3段階(3;完全に抑制~1;抑制されない)で評価した.使用装置は,東芝社製Vantage Titan 3Tであり,JET-IRの撮像条件は,TR=2600ms,TI=1100ms,TE=30ms,スライス厚=6.5mm,Flip angle=90°,Flop angle =90°,撮像時間3分40秒(1断面)である.3D-GREは,スライス厚1.0mm,撮像時間2分50秒である.【結果】結節描出は,JET-IRの方が4;明瞭に描出76.3%,3;同等 21.5%, 2;不明瞭 2.1%, 1;描出されない 0%であり,平均スコアは3.7であった. 3D-GREで描出された病変は,JET-IRの全てもしくはいずれかの断面で描出されていた.静脈信号は,直静脈洞100%, 横静脈洞92.8%, S状静脈洞 89.2%,末梢静脈42.9%で完全に抑制されていた.末梢静脈は,「2;一部描出されているが診断に影響しない」との評価が最も多く53.6%だった.【結論】JET-IRは,小脳,橋,延髄において3D-GREよりも脳転移の描出能に優れ,さらに静脈信号抑制効果により腫瘍と血管の鑑別が容易である.