第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

肝臓-評価

肝臓-評価

2014年9月19日(金) 13:40 〜 14:30 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:村上卓道(近畿大学医学部 放射線診断学教室)

[O-2-188] 肝細胞相画像の造影率を用いた残肝機能の術前評価

松島秀1, 佐藤洋造1, 山浦秀和1, 加藤弥菜1, 川田紘資1, 村田慎一1, 紀ノ定保臣2, 惠良聖一3, 米澤祐司1, 小倉弘之1, 稲葉吉隆1 (1.愛知県がんセンター中央病院 放射線診断・IVR部, 2.岐阜大学大学院医学系研究科 医療情報学, 3.岐阜大学大学院医学系研究科 分子生理学)

【目的】安全に肝切除術を施行するためには術前に残肝機能を評価することが重要である。予定残肝機能の評価として予定残肝ICG 消失率(ICG Krem)が用いられているが,ICG Kremは肝実質内の均一な肝機能分布が前提となっている。我々は肝切除予定患者に対しGd-EOB-DTPA造影検査を実施し, 肝細胞相画像の造影率(relative enhancement (RE))を用いて肝機能の分散を計測した。本研究の目的は肝機能の不均一性を考慮したICG Kremを用いて術前に残肝機能を評価することである。
【方法】対象は肝切除予定患者21名である。装置は3T MRIを使用し,撮像シーケンスはLAVA-Flex(Liver Acquisition with Volume Acceleration-Flex)を用いた。REは肝細胞相画像(造影20分後)と造影前の画像を用い(1)式のように定義し, REを算出・画像化(RE image)した。
RE (%) = [(SIH-SIP) / SIP] × 100 ….. (1)(但し, SIPは造影前の画像, SIHは肝細胞相画像よる同一計測部位における信号強度である)。
ICG Kremは(2)式のように定義され, ICG Krem ≧ 0.05 を肝切除の安全基準とした。
ICG Krem = ICG 消失率(K 値)×(予定残肝体積/全肝体積)…..(2)
全肝臓と予定残肝におけるREの平均値(AV)と変動係数(CV)を算出し,ICG Kremを(3)(4)式のように補正した。
RE(AV)ICG Krem = ICG Krem × (残肝のRE(AV) /全肝のRE(AV)) ….. (3)
RE(CV)ICG Krem = ICG Krem × (全肝のRE(CV)/ 残肝のRE(CV)) …..(4)
臨床的な残肝機能および肝障害は術後5日目のinternational normalized ratio (INR)とPosthepatectomy liver failure (PHLF) により評価した。
【結果】ICG Krem, RE(AV)ICG Krem, RE(CV)ICG KremはINRと相関した(r = -0.52, -0.52, -0.53, p<0.05)。肝障害を示す群 のICG Krem, RE(AV)ICG Krem, RE(CV)ICG Kremは有意に低い値を示した(p<0.05, p<0.05, p<0.03 )。RE(CV)ICG KremはPHLF Bの2例をRE(CV)ICG Krem ≦ 0.05として検出した。
【結論】肝機能の不均一性を考慮したRE(CV)ICG Krem CERHは, 安全に肝切除術を施行するために必要な術前残肝機能評価に有用であると推察された。