第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

骨格筋

骨格筋

2014年9月19日(金) 14:30 〜 15:10 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:丸山克也(シーメンス・ジャパン株式会社 イメージング&セラピー事業本部)

[O-2-191] DTIを用いた前脛骨筋fiber tracking ―筋線維走行描画による羽状筋の立体構造解析―

新川翔太1, 八木一夫1, 畑純一2, 遠藤和樹1 (1.首都大学東京大学院人間健康科学研究科 放射線科学域, 2.慶應義塾大学医学部)

【目的】
従来,骨格筋の羽状角(pennation angle : PA)の測定では超音波診断装置(Ultra Sound : US)が主に用いられてきた.しかし羽状筋の筋線維走行は立体的であり,USでは筋線維走行に即してPAの測定を正確に行うことは困難であった.近年では,Diffusion Tensor Imaging : DTIを用いることで立体的な筋線維走行に追従したPA計測の研究報告が行われている.本研究ではDTIによるfiber trackingを行い,下腿部骨格筋である前脛骨筋(tibialis anterior muscle : TA)の起始部から停止部,表面部および深部の細部にわたるPAの立体構造解析を行うことを目的とする.
【方法】
MRI装置はPhilips社製Achieva3.0Tを使用し,撮像対象は首都大学東京倫理委員会承諾のもと,本研究に対し同意を得た健常ボランティア20例を対象とした.撮像シーケンスは,single shot EPI(TR/TE:4000/48[ms], Slice thickness:6[mm],b-value:700[s/mm2],MPG印加軸:6)とTAの筋膜を把握する解剖学的画像を得るためにTSE_T2WI(TR:4000[ms],TE:8,100[ms])を用いた.被験者は両側の膝関節を伸張させ,仰臥位安静時にて撮像した.EPI撮影においてはTAを近位,中位および遠位の3分割にし,撮像を行った.DTI解析にはVolume-One_1.72 / dTV2.SR(東大放射線科)を使用し,PA計測にはImage J 1.37v(National Institutes of Health)を用いた.また,表面部および深部のPAの測定結果と,先行研究による計測値との間で有意差検定を行った.
【結果・考察】
TAの近位/中位/遠位のPAの計測値はそれぞれ,16.3±2.5/14.1±2.8/15.1±3.4[deg]となり,先行研究の測定結果と比較して良好な相関関係が得られた.また表面部/深部の測定結果は13.6±2.6/14.5±2.9[deg]となり,先行研究による値と比較して有意な差が認められた(p<0.05).本研究では,まずaxial像にてfiber trackingを行い,立体的な筋線維走行に準じて画像をrotateする.その後,筋膜に対して垂直な角度で再度fiber trackingを行っている.したがって,本研究の測定は解剖学的により正確なPA値を反映し,fiber trackingに関して優位性を示していると考える.