第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

拡散-脊髄

拡散-脊髄

2014年9月19日(金) 16:10 〜 17:00 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:三木幸雄(大阪市立大学大学院医学研究科 放射線診断学・IVR学教室)

[O-2-202] 拡散テンソル画像による変性椎間板の定量的画像診断の試み

及川泰宏1,2, 江口和3, 渡辺淳也1, 折田純久1, 山内かづよ1, 佐久間詳浩1, 久保田剛1, 稲毛一秀1, 西能健1, 佐藤淳1, 小島正歳4, 桝田喜正4, 高橋和久1, 大鳥精司1 (1.千葉大学大学院医学研究院 整形外科学, 2.帝京大学ちば総合医療センター 整形外科, 3.下志津病院 整形外科, 4.千葉大学医学部付属病院 放射線部)

【目的】椎間板の画像評価はT2強調画像を用いたPfirrmann分類やT2・T1ρマッピングを用いた定量的評価法が報告されている。拡散テンソル画像(DTI)や拡散テンソルトラクトグラフィー(DTT)は組織内の水分子の拡散異方性を記録し、異方性の強い組織を3次元的に描出することが可能な撮像法である。本研究の目的は椎間板の3次元的かつ定量的画像評価法としてDTI・DTTの有用性を検討することである。【対象と方法】椎間板性腰痛患者4例(男性3例、平均年齢32歳)である。L2/3からL5/Sまで計16例の椎間板について検討を行った。DTTの形態とPfirrmann分類、DTTの形態における各種パラメータ(FA値、ADC値、fiber数)について検討を行った。中心より同心円状に3層に分け外層、中間層、内層とし、DTTの形態は外層のみ描出される輪状、中間にも描出されるドーナッツ状、全体が覆われる円盤状の3つに分類した。また各層における各パラメータを計測した。【結果】椎間板におけるDTTは椎間板に沿って短いトラクトが描出され3次元的に観察可能であった。DTTの形態分類では輪状:7例、ドーナッツ状3例、円盤状は6例であった。Pfirmann分類との比較では輪状は全例Grade2、ドーナッツ状は2例がGrade3、円盤状は5例がGrade4に分類された。輪状ではFA値とfiber数は外層から内層に向かい低下し(p<0.05)、ADC値は上昇した(p<0.05)。 DTTの形態が輪状からドーナッツ状、円盤状になるにつれFA値、fiber数は上昇し(p<0.05)、ADC値は低下する傾向にあった。【考察・結論】本研究よりDTTの形態はPfirmann分類と相関し、変性の過程を3次元的に描出できる可能性が示唆された。FA値とfiber数は外層で高く、内層で低く、変性に伴い中間層・内層で上昇することから髄核の水分減少と線維化といった変性の過程を示し、FA値やfiber数を用いることで変性椎間板を定量評価できることが示唆された。本研究によりDTI・DTTは椎間板の変性を3次元的かつ定量的に評価でき、今後椎間板の変性や再生などの過程を評価する有用な画像検査になる可能性が示唆された。