[O-2-203] Diffusion Tensor Imagingを用いた脊柱管狭窄症の定量的画像診断
【目的】Diffuison Tensor Imaging(DTI)は組織内の水分子の拡散異方性を記録する撮像法でNeuroimagingとして脊髄や神経根・脊髄神経に対する定量的画像評価法への応用が報告されている。一般的に脊柱管狭窄症の診断にはMRIや脊髄造影などの画像診断が用いられ、狭窄の評価には形態的、視覚的な評価によるところが大きく、脊柱管の狭窄を定量的に評価した報告は少なく、DTIを用いた脊柱管の定量評価の報告は認められない。本研究の目的は脊柱官狭窄症の定量評価におけるDTIの有用性を検討する事である。【対象と方法】対象は単椎間かつ馬尾症状を有する脊柱管狭窄症20例(男性13例、平均70歳)である。3T-MRIを用いてDTIを施行し、脊柱管の平均、最大、最小fractional anisotorophy(FA)値を計測した。狭窄の有無、腰痛・間歇跛行など臨床症状の有無、JOAスコア、ODIとの相関について検討を行った。脊柱管の狭窄の有無については3名の脊椎外科医が有りと判断した部位を狭窄ありとした。【結果】脊柱管の狭窄を認める部位では平均、最大、最小FA値ともに狭窄の認めない部位に比較し有意にFA値が上昇しており(p<0.001)、FA値は脊柱管の面積と負の相関を示した(p<0.001)。描かれたtractをFA値でカラーマッピングを行うと狭窄部位が視覚的に描出された。臨床症状とFA値においてはVAS5以上の腰痛を有する症例では狭窄部位のFA値が高い傾向にあり(p=0.08)、100m以下の間歇跛行を認める症例では認めない症例に比べ有意にFA値が低かった(p=0.04)。JOAscore、ODIともにFA値の上昇にともない症状の増悪を認める傾向にあった。【考察・結論】DTIを用いて脊柱管狭窄症の定量的画像評価について検討を行った。FA値は脊柱管の面積と相関しており、FA値を用いる事で狭窄の定量的評価や症状への関与、狭窄部位の可視化ができる可能性が示された。多椎間狭窄症例や椎間孔狭窄合併例への応用向け更なる検討が必要である。