第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

RFシム

RFシム

2014年9月19日(金) 09:30 〜 10:20 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:巨瀬勝美(筑波大学 数理物質系物理工学域)

[O-2-209] 送信B1制御機能付き受信アレイコイルによるB1不均一および局所SARの低減効果の検討

金子幸生1, 五月女悦久1,2, 羽原秀太1,2, 尾藤良孝2, 越智久晃1 (1.(株)日立製作所 中央研究所, 2.(株)日立メディコ MRIシステム本部)

【目的】3テスラ以上の高磁場MRI においては,腹部撮像時の送信RF分布の不均一低減は依然として重要な課題である。以前の報告において,送信RFにより生成される回転磁界(B1)の空間分布を局所的に制御し,B1不均一低減を図る手法として,「送信B1制御機能付き受信アレイコイル(以下,B1制御コイル)」を提案し,ファントム実験によりB1不均一効果を示した[1]。B1制御コイルは,従来の受信コイルに対してダイオードが追加されており,誘導性ループモードを持つ。本モードを使うことによって,B1不均一低減効果を得ることができるが,その際,人体における局所SARに及ぼす影響を考慮することが重要となる。そこで本報告では,3テスラ装置において,人体に対してB1制御コイルを適用した際の,B1不均一低減効果および局所SARに及ぼす影響について検討した。
【方法】12チャンネルのB1制御コイルモデル[1]を作成し,FDTDシミュレーションを行った。人体モデルとして,CST社提供のHugoモデルを使用し,骨盤領域がRF送信コイル中心となるように設定した。RF送信コイルとして,2chバードケージコイルを用い,RF送信時のB1均一度(標準偏差/平均値×100 [%]),および人体モデル内の最大局所SAR(10 g平均)を算出した。送信RF条件として,(a)QD照射,(b)RFシミング(B1均一度を最小化)単独,(c) B1制御コイル使用およびQD照射,(d) B1制御コイル使用およびRFシミング(B1均一度を最小化),(e) B1制御コイル使用およびRFシミング((b)の場合のB1均一度を維持する条件の下,局所SARを最小化)とした。
【結果】B1均一度は,(a)21.7,(b)18.1,(c)18.4,(d)15.5,(e)18.1となり,(d)の場合においてB1不均一が最も低減されることがわかった。最大局所SARは,(a)(b)(c)(d)の場合ではほぼ一定となった。また,(b)と(e)を比較した結果,B1均一度は同じ値を示す一方,局所SARは(b)よりも(e)の方が20 %低減した。以上より,RFシミングと送信B1制御機能付き受信アレイコイルを組み合わせることによって,RFシミング単独に比べてB1不均一もしくは局所SARを低減できることが確かめられた。
【参考文献】[1] Kaneko, et al. ISMRM 2012; 20: 2611.