[O-2-218] 脂肪抑制効果評価ファントムの考案
【背景】MRI検査において脂肪抑制撮像シーケンスは頻回に使用される手法である。その手法は原理により異なり臨床において経験則で使用されることが多い。ファントを用いた評価もなされているが、MRI画像特有のリンギングアーチファクト、ファントムの大きさに自由度がない、などの要因で正確に評価がなされていない。【目的】MRI撮像時の脂肪抑制効果をより正確に把握する目的にてファントムを考案し評価法を提案する。(以下「提案法」)【方法】脂肪抑制効果を評価するには「脂肪抑制の度合い」「脂肪抑制の均一度」「撮像面内の脂肪の分布割合の変化に基づく抑制効果の変化」を評価する必要がある。今回考案したファントムは球形を二つ重ねた形状であり、これらの項目を一つのファントムで評価可能である。今回考案したファントムを従来より報告されている手法と比較しながら上記項目の評価を行った。【結論・考察】脂肪抑制の度合い、均一度の評価において、提案法は従来法と比較して画像ピクセル値の標準偏差が10~20%ほど低い値となった。同時に画像マトリックスが少ない場合にこの傾向は顕著であった。これは提案法のファントムの形状が球形であるのでMRI画像に特有のリンギングアーチファクトが存在しないためであると考察される。特に磁場均一度の差に起因した抑制効果の評価などの場合は、僅かな差を検討することが必要であるので提案法のファントムは有用である。また、提案法のファントムは撮像面内の脂肪の割合を自由に設定可能である、従って従来法では脂肪の分布割合を変化させるのに様々な大きさファントムを用意する必要があったが、提案法では一つのファントムで可能である。撮像面内の脂肪の分布位置が磁場中心から離れると、中心周波数からのずれが生じ、Chess 法などでは全面内を均一に抑制するのが難しくなる。この様な場合の評価も提案法では可能となる。以上より今回考案したファントムは脂肪抑制効果の評価に有用であると考える。