第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

心大血管基礎

心大血管基礎

2014年9月19日(金) 13:40 〜 14:20 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:上口貴志(情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター)

[O-2-221] 拡散強調画像を用いた深部静脈血栓の検出

黒岩靖淳1,2, 油屋真仁3, 山下篤2, 宮地利明4, 篠原暢孝1, 福田さとみ1, 椎葉拓郎1, 前田昌二1, 木原康5, 浅田祐士郎2, 今村卓郎3 (1.古賀総合病院 放射線技術部, 2.宮崎大学医学部 病理学講座構造機能病態学分野, 3.古賀総合病院 循環器内科, 4.金沢大学 医薬保健学域保健学類, 5.古賀総合病院 放射線科)

【目的】 深部静脈血栓症 (DVT) の画像診断は,超音波検査,造影computed tomography (CT) 検査が一般的であるが,特に,被ばく線量の増加が懸念されている.Magnetic resonance imaging (MRI) は静脈血栓の診断に応用されているが拡散強調画像 (DWI) を用いたDVTの検出に関する報告はない.DWIでは広範囲な撮像が可能であるため,DVTが疑われた症例において,その診断と血栓の広がりを評価する目的で撮像を行った.
【症例】 飲酒および喫煙歴のない70歳代女性.出血性胃潰瘍の治療目的で当院を受診した.胃生検で悪性腫瘍の否定ができず,胸腹部造影CTおよび肺血流シンチ検査を施行.右肺動脈上葉に塞栓像および集積低下を認めた.下肢超音波検査で右ヒラメ筋静脈にDVTを疑う所見を認めた.血栓の検出やその広がりを検討するために,下肢MRI検査を施行された.MRI検査のDWI (b=1000sec/mm2) およびT1強調画像 (T1W) は,1.5T MRI装置 (Signa HDxt, GE) を用いて撮像し,血栓部の信号強度比を算出し比較検討を行った.
【結果】 DWIおよびT1Wの横断像から作成したmaximum intensity projection (MIP) 画像は,右下腿に高信号を呈する線状・分岐状病変を認めた.横断像の融合画像で2つの高信号病変は共局在した.その病変はT1Wで右後脛骨およびヒラメ筋静脈に高信号を呈しておりDVTと判断した.また,超音波検査でDVTを疑われた部位に一致していた.DWIおよびT1Wから算出した血栓部の信号強度比は,DWIで有意に高くMIP画像で周囲組織とのコトラストが明瞭であった.
【結論】 DWIは血栓が周囲とのコントラストが明瞭に描出されるため,血栓の広がりを俯瞰するのに有用であることが示唆された.またT1Wと共に評価することで解剖学的情報が明確となった.なおT1Wの信号強度から比較的新しい血栓と考えられ,DWIではそれが高信号として描出されることが示唆された.