[O-2-223] 各種腹部大動脈ステントグラフトのメタルアーチファクトがMRI画像に及ぼす影響
【背景】腹部大動脈瘤ステントグラフト留置後の経過観察において非造影MRAが造影CTA の代替的手法となれば放射線被ばくや造影剤使用の観点において多くのメリットが見込まれる。しかし、ステントのメタルアーチファクトが非造影MRA画像に悪影響を及ぼすことが懸念される。【目的】腹部大動脈瘤に対するステント内挿術に用いられる4種類のステントグラフトについて、それぞれのメタルアーチファクトの大きさをファントム実験にて計測する。【方法】対象はエンデュラント ステントグラフトシステム、エクスクルーダー Y字型ステントグラフトシステム、パワーリンク ステントグラフトシステム、クックゼニス AAAエンドバスキュラーグラフトの4種類とした。各々のステントグラフトを水中で固定し、ステントグラフトのメインボディ部及びレッグ部をBalanced Turbo Field Echo (TR/TE 2.8/1.39, flip angle 80°, matrix 192×256 , slice thickness/gap 6/-2 mm)にて横断像で撮像し、アーチファクトの領域を含むステント外径をImageJ及びWorkstation(GE healthcare社製 Advantage windows4.2)を用いて測定した。次に測定値をそれぞれのステントの実測値で除し、アーチファクトの拡大率を求め比較した。【結果】ImageJによるレッグ部及びメインボディ部の拡大率はエンデュラントでは116%、108%、エクスクルーダーでは124%、110%、パワーリンクの非接合部では123%、125%、接合部では142%、135%であった。 またWorkstationによるレッグ部及びメインボディ部の拡大率はエンデュラントでは116%、111%、エクスクルーダーでは127%、113%、Power Linkの非接合部では126%、127%、接合部では143%、137%であった。ゼニスは強いアーチファクトのためImageJ、Workstation共に計測は不可能であった。【結語】メタルアーチファクトの影響はステントグラフトの種類によって大きく異なり、最もアーチファクトが小さいのはエンデュラント ステントグラフトシステムであった。