第42回日本磁気共鳴医学会大会

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一般演題

造影剤-基礎

造影剤-基礎1

Fri. Sep 19, 2014 9:30 AM - 10:20 AM 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:森勇樹(大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 生体機能イメージング)

[O-2-245] 極小超磁性体酸化鉄(USPIO)によるラット脳腫瘍造影効果;腫瘍内造影剤局在を組織像と比較検討

井藤隆太1, 山本敦子2, 森川茂廣3, 犬伏俊郎4, 村田喜代史1 (1.滋賀医科大学医学部附属病院 放射線科, 2.公立甲賀病院 放射線科, 3.滋賀医科大学 看護学科基礎看護学講座, 4.滋賀医科大学)

[目的]神経膠腫モデルラットを作製.腫瘍のUltrasmall Super Paramagnetic Iron Oxide(USPIO)造影脳MR画像と対応する組織像とを比較することで信号低下を引き起こす酸化鉄の腫瘍内での局在を明らかにする.
[方法]妊娠ラットにN-Nitroso-N-ethylurea 50mg/kgを腹腔内投与,仔に神経膠腫を誘発し作製したモデルラット4匹,6病変を対象.実験用7T-MR装置にて,造影前GradientEcho(GRE)-T2*強調像(WI),SpinEcho(SE)-T1WI,SE-T2WIを撮像後,Gd造影剤0.4mmol/kgを尾静脈より投与し造影後SE-T1WIを撮像した.次日,USPIO造影剤(名糖産業,愛知県清須市)10mgFe/kgを投与,5-6時間後にSE-T2WIを撮像した.撮像終了後,高濃度pentobarbitalの腹腔内投与によりと殺,灌流固定後,脳を取りだし4% paraformaldehydeで固定したのちMR画像と同じ断面の組織切片を作成,Prussian blue染色で酸化鉄を染色した.USPIO造影前後のSE-T2WIを比較し,信号低下を認めた部分を造影領域とみなした.このUSPIO造影領域をGdによる造影領域及び組織像での酸化鉄の分布範囲と比較した.造影前GRE-T2*WIでの低信号部分は腫瘍内出血由来の酸化鉄によるものと判断した.MR画像と組織像の評価はモニター上で二人の観察者により行った.
[結果] 6病変すべてに腫瘍内出血由来と考える低信号部分を認めた.USPIO投与後SE-T2WIでは6病変すべてにGdで造影された範囲と同じかやや広い範囲の信号低下を認めた.組織像での酸化鉄の分布は,ほぼ造影前GRE-T2*WIでの低信号部分と一致していた.
[結論]組織像ではUSPIO投与5-6時間後の信号低下領域に酸化鉄の残存は乏しかった.USPIOはそのサイズから血液関門を有する脳組織では造影後血管内に長時間留まることでより正確な血管床評価が可能と考えられているが,投与5-6時間後ではほぼ血管内に留まっていたと考えられた.