第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

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2014年9月19日(金) 11:00 〜 12:00 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:瀬尾芳輝(獨協医科大学医学部 生理学教室(生体制御)

[O-2-254] 微小金属による磁化率アーチファクトに対する拡散強調画像の基礎的検討

吉村祐樹, 鈴木大介, 宮原可名恵, 宮田一郎, 小林有基 (岡山済生会総合病院 画像診断科)

【背景】現在、拡散強調画像は急性期脳虚血病変を鋭敏に検出できる撮像法として広く使用されている。しかし、CTで低吸収になる早期虚血変化があるにも関わらず、拡散強調画像では明らかな高信号病変が見られないreversed discrepancy(以下、RD)の存在が報告され、特に基底核において問題となっている。基底核は生理的鉄沈着があり、磁化率アーチファクトが生じやすく、拡散強調画像では信号が低下して高信号にならないと示唆されている。【目的】今回我々は、Single Shot EPI(以下、SS-EPI)とReadout Segmented EPI(以下、RESOLVE)を用いて、磁化率アーチファクトによる影響について比較を行った。【使用機器および方法】使用装置はSIEMENS社製MAGNETOM ESSENZA 1.5T。Head Matrix Coilを用いてSS-EPIとRESOLVEで脳梗塞を模擬した自作ファントムを撮像した。ファントムは2層構造で、スクロース溶液をゼラチンで固めた層ともう一方はその中に微小金属(マスカラ)を溶かして封入した層である。SS-EPIとRESOLVE の撮像条件はTEとESを最短、b値を0,1000sec/mm2とし、その他のパラメータは同じとした。RESOLVEにおいてはSegment数を3、5、7、9、11、13と変化させて撮像を行った。得られた画像から、2層それぞれにROIを5か所設定し、微小金属(-)層の信号値に対して微小金属(+)層の信号値の低下率を算出した。また、ADCmapより拡散係数を計測し、低下率を算出した。【結果】SS-EPIでは信号値の低下率は小さく、拡散係数の低下率は大きかった。しかし、RESOLVEでは拡散係数の低下率は小さく、またSegment数を増加させることで信号値の低下率を小さくすることができた。拡散係数の低下率が小さいということは、物質そのものの拡散の程度がほとんど変わらないということが言える。【結語】SS-EPIに比べ、撮像条件の設定によってはRESOLVEにおいて磁化率アーチファクトの低減が期待でき、RDに対応した撮像が可能ではないかと考える。