第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

ハードウエア

ハードウエア2

2014年9月19日(金) 14:20 〜 15:00 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:拝師智之(株式会社エム・アール・テクノロジー)

[O-2-262] MRガイド下集束超音波治療のための血管分岐構造に基づく3次元肝変形解析

松本龍彦1, 熊本悦子2, 国領大介3, 黒田輝4,5 (1.神戸大学大学院システム情報学研究科 システム科学専攻, 2.神戸大学情報基盤センター, 3.放射線医学総合研究所, 4.東海大学 情報理工学部情報科学科, 5.神戸国際フロンティアメディカルセンター)

【目的】MRガイド下集束超音波治療の肝臓適用には、照射点の3次元追尾が必須である。我々はこれまでに血管分岐と、照射点との相対的位置関係による追尾法を提案した[1]が、肝臓組織の変形は一様であることを前提としていた。本研究では、追尾の精度向上を目的とし、肝臓の変形解析を行った。
【方法】自由呼吸下でのマルチスライスMR画像を3.0TMRI(Signa HDxt, GE Healthcare UK Ltd.)によりFIESTA、TR/TE:4.85/1.98ms、スライス厚:5mm、FOV:35x35cm2、spatial matrix:512x512、FA:90°にて撮像した。スライス数は各6枚で、線形補間により等方ボクセル化した。まず横隔膜領域像を指定し、次の画像で相関係数の最も高い領域を次の横隔膜位置として肝臓の変位を算出した。図1に示す分岐血管に対し、横隔膜の変位量に基づき検索範囲を絞り、各分岐点を自動抽出した。1つの分岐血管を基準として、各呼吸位相での分岐点間の距離を計算し、その変化に基づき考察を行った。
【結果と考察】前後方向への伸縮は5mm以下、頭尾方向への伸縮の最大値はP0-P8間の60mm、左右方向(面外)の伸縮は10~15mmであった。肝臓中程の分岐点について、腹部側の伸縮が約6~15mm大きかった。これは背部側の変位が下部に存在する別の組織に妨げられたためと考えられる。
【結論】肝臓の変形は一様ではなく、追尾の際は局所的変形について検討の必要性が示唆された。
[1] Kumamoto et al. Proc. of ISMRM 20th, 1577 (2012)